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ショートコント:竹取物語
(2004/9/29作)


 昔々あるところに、竹細工を生業とする老夫婦が住んでいました。
 ある日おじいさんが材料となる竹を取りに竹やぶへ行ったところ、光り輝く竹の中から女の子の赤ちゃんを見つけました。

「おやおじいさん、どうしたんですかその赤ん坊」
「竹やぶに光る竹があってな、それを割ると中から出てきたんじゃ」
「あれまぁ。きっと竹を割ったような性格になりますね」
「感想はそれだけかばあさん」

 女の子は優しいおじいさんとおばあさんの元ですくすくと育っていきました。

「おはようおじいさん、おばあさん」
「おはよう竹子
「名前になんのひねりもない!」

 自らかぐや姫と改名した竹子は美しく育ち、村の評判に。そんな彼女の元に、5人の貴族が求婚してきました。

「おお麗しのかぐや姫、是非私と結婚してください」
「では、火鼠の皮衣を持って来て下さい。されば結婚致しましょう」
「あ、それでしたらこないだ新宿の露店で買いました」
「それ絶対偽物ですから」

「おお麗しのかぐや姫、是非私と結婚してください」
「では、龍の五色の玉を持って来て下さい。されば結婚致しましょう」
「では姫は龍をおびき出してください。そしたら私が玉を取ります」
「とんちで解決しようとしないでください」

「おお麗しのかぐや姫、是非私と結婚してください」
「では、厨司の玉の枝を持って来て下さい。されば結婚致しましょう」
「あ、そういえばこないだ読んだ雑誌の通販に」
「開運グッズは求めていません」

「おお麗しのかぐや姫、是非私と結婚してください」
「では、仏の御鉢を持って来て下さい。されば結婚致しましょう」
「うーん。ダイソーに売ってればいいんだけどな」
「100円で済ませようとしないでください」

「おお麗しのかぐや姫、是非私と結婚してください」
「では、燕の子安貝を持って来て下さい。されば結婚致しましょう」
「わかりました。ではとりあえず燕を片っ端から刈ってきます!
「生態系を破壊しないでください」


 噂が噂を呼び、とうとう宮廷の帝までが結婚を申し込んできました。しかしかぐや姫は頑なにその申し出を拒みます。

「かぐや姫はどうして誰の誘いも受けないんだろうねぇ」
「ふむ。今度は年端も行かぬ少年とか連れてこようか」
「もしかしたら同姓に興味があるのかも知れませんよ、おじいさん」
「勝手にアブノーマルな性癖を憶測しないでください」

 ある日、かぐや姫は夜空を見上げながらしくしくと泣き始めました。

「どうしたんだいかぐや姫。そんなに第三次小泉内閣が不本意なのかい」
「時代錯誤な時事ネタはやめてください」

 やがてかぐや姫は悲しげにこう語りました。

「おじいさん、おばあさん。今まで育てて頂いてありがとうございました。
 ですが次の満月の夜、私は」
「狼になるのかい」
なりません。私は月に帰らねばならないのです」
「なんと」
「満月の夜、月からお迎えが来ます。実は私は月の世界の人間なのです」
「なんで月の世界の人間が竹の中に入ってたんだい」
「そういうイレギュラーな質問はやめてください」
「月面には本当にアメリカ国旗が立っているのかい」
「微妙なラインに抵触する質問もやめてください」


 それを聞いた帝、かぐや姫を帰すまいと兵を派遣して警護に当たります。

「かぐや姫を守るのだ! 月の者の手に渡してはならぬ! 良いな皆!」
「おおーっ!」

 閉め切った屋敷の中にはおじいさん、おばあさん、かぐや姫。

「かぐや姫や…」
「おじいさん、いくら警護しても無駄ですわ」
「かぐや姫…」
「私は月に帰らなければならない。これは仕方のないことなのです」
「でもかぐや姫…」
「引き止めないで。私だって寂しいのです」
「いや、そうじゃなくてだね」
「はい?」

「大型の台風が来てるらしいよ」

 満月も出ない上に帝軍壊滅。