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ショートコント:チョイ悪親父
(2006/09/12作)


「うちの父親、チョイ悪親父なんだ」
「は?」
「最近流行りだろ、チョイ悪親父」
「まぁそうだけど、そんな血液型とか星座みたいに言われても」
「いや、息子の俺が言うのもなんだが、本当にチョイ悪親父なんだ」
「そうなの?」
「ああ」
「どんな風に?」
「そうだなぁ。例えば、こないだのことだけど」
「うん」
「親父が道を歩いていたら一万円札が落ちていたんだ」
「ほう」
「親父はそれを拾って少し考えた後」
「うん」
「それを財布にしまう代わりに9500円を道においた」
「は?」
「親父にとってネコババしても心が痛まないラインが500円らしい」
「気小さっ!」
「一万円は気が引けるけど、500円分は懐に入れてしまう。チョイ悪だろ」
「不自然すぎる。道端に札五枚とコイン一枚なんて」
「ううん、札は三枚」
「えっ、二千円札!?」
「使い勝手悪いから、って厄介払いしたみたい。チョイ悪だろ」
「いや、それはどうかな…」
「あと、結婚式に呼ばれたらいつもキャンドルサービスの蝋燭の芯を水で濡らす。チョイ悪だろ」
「新郎の男友達定番の嫌がらせじゃないか」
「コンビニでジャンプを立ち読みした後、マガジンの上に置いて帰る。チョイ悪だろ」
「地味に迷惑だ」
「一人でエレベータに乗った時、降りる前に屁をこいて出る。チョイ悪だろ」
「後から乗った人が可哀想だよ」
「宴会で席を立っているヤツの飲み物にワサビを混ぜる。チョイ悪だろ」
「ちゃんと人は選べよ。下手すると人間関係壊すぞ」
「女性専用車両に乗り込んで痴漢する。チョイ悪だろ」
「それ、チョイか?」
「『貴方の為に祈らせて下さい』と声をかけられたら『じゃこれで』と言ってハムラビ法典を渡す。チョイ悪だろ」
「それどっちも得しないんじゃないの」
「人間ドックでバリウムを五杯お代わり。チョイ悪だろ」
「いや、純粋にすごくないかそれ」
「ロッテリアでマックシェイクを注文。チョイ悪だろ」
「ただの嫌な客だよ」
「パソコンの苦手な上司のアカウントを使ってWinny。チョイ悪だろ」
「捕まるぞ」
「親戚の子供にサンタクロースはお前のお父さんだよと教える。チョイ悪だろ」
「酷すぎる」
「選挙で投票用紙に願い事を書いて投函する。チョイ悪だろ」
「七夕か何かと勘違いしてるよね」
「息子に変装して自分のチョイ悪自慢をする。チョイ悪だろ」
「チョイ悪親父の意味履き違えてますよ、お父さん」