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ショートコント:ふしぎちゃんと道案内
(2008/06/22作)

PLLL...

「はーいもしもし。オセロ松嶋結婚披露宴会場です」
「そんなダイナミックな嘘は良いから。とりあえず駅まで着いたよ、ふしぎちゃん」
「おー来たか。よー来たよー来た」
「帰省で久しぶりに会った親戚の伯父さんみたいに言うの止めてくれるかな」
「いつもながら的確なツッコミだね、れーじくん。待ってるから早くおいで」
「というか、ここからどう行けばいいの」
「あれ? 地図送ったでしょ」
「もらったけど…世界地図に矢印つけただけじゃわかるわけないじゃん…」
「えー。折角0.1mmまで厳密に計って貼り付けたのに」
「そんな無駄なところに労力使うくらいなら手書きした方がまだマシだったと思うよ」
「世界地図を?」
「いや、この近辺の地図だけでいい」
「わかったよ。今から描いて郵送するよ」
「間に合わないでしょ。もういいから、携帯越しに進路を指示して」
「らじゃーであります、隊長代行!」
「…代行?」
「うーんと、駅前のどこ?」
「あ、うん、えっと、今はね、東口…」
「…昔アスベスト使われてたところは」
「知らないよ。僕に訊くのも間違ってるし、今訊くのも間違ってる」
「そこ通る時はアスベスト吸わないように注意してね、って言おうとしたんだけど」
「お気遣いありがとう。そっちは気をつけるから、ふしぎちゃんには道案内の方をお願いしたい」
「らじゃーであります、隊長補佐!」
「…補佐?」
「んー、じゃあね、そこからジャスコ見える?」
「ジャスコ? あーあー、うん、見えた見えた」
「あたしは見えないよ」
「…そう。で、ジャスコの方角へ行けばいいの?」
「うん、とりあえずジャスコの4階おもちゃ売り場の方向へ行って」
「斜め上には歩けませんが」
「じゃあ正面入り口でいいや」
「わかった、今向かってる。正面入り口からはどう行くの?」
「ちなみにその近辺、ジャスコが5軒あるよ」
「だめじゃん。ていうかそれ、どう考えても経営戦略間違えてると思うんだけど」
「地下の食料品売り場にある試食のハムが一番美味しい店に行って」
「5軒の地下を全部巡れと」
「だめかー」
「もうちょっとわかりやすい目印ないの?」
「あ」
「何かあった?」
「入り口でぶち模様の猫が寝てたよ」
「その目印は消えてる可能性のほうが高いと思う」
「じゃあ、もうだめだね」
「えっ、それしか目印ないの!? というか目印にすらなってないけど!」
「ふっふっふ。あたしを見くびっちゃいけないよ」
「え?」
「こんなこともあろうかと、あたしは道に目印をつけておいたのだ」
「お。ふしぎちゃん考えたね」
「えへへー。もっと褒めて褒めてー」
「ふしぎちゃんすごい。ふしぎちゃん天才。ふしぎちゃんかっこいい」
「いやぁ。照れるじゃないかー」
「ふしぎちゃん最高。ふしぎちゃん素敵。ふしぎちゃん天然」
「うはうはうは。よきにはからえー」
「気付いてないところがさすがだね」
「うん?」
「ううん、なんでもない。で、目印ってどれ?」
「うんとね、途中にある民家の表札全部に『山田』って書いたシール貼り付けてきた」
「うわああああ! 何やってんの!」
「え? 『樋口』の方が良かった?」
「なんでその二択!?」
「元ネタが解った人はweb拍手にどーぞ☆」
「…誰に言ってんの。というかそんな迷惑なことしちゃダメだよ…」
「大丈夫。山田さんちだけ選んで貼ったから」
「ますますもって意味ないよね。特に目印として」
「あ! 盲点だった」
「もうちょっと、その、普通の目印はないのかな…」
「難しいね」
「難しいんだ」
「公的年金くらいの難問だよ」
「そう。じゃあさ、これだけ教えて」
「なあに?」
「目的地の名前」
「なんで?」
「いや、突然ふしぎちゃんに呼び出されたんで、正直僕がどこへ行こうとしてるのか解らないんだけど」
「おお。そういえばそうだった。盲点パート2だったよ」
「それさえ解ればなんとか自分で調べて行くからさ」
「らじゃーであります、副隊長!」
「…副?」
「えっとね。確か『創作イタメシ・ビストロ来来軒』っていうおそば屋さんだよ」
「かなりカオスな店名だね。わかった。調べてみる」
「おっけー。わかったら教えてね」
「うん、わかっ……え?」
「ん?」
「ふしぎちゃん、先にその店にいるんじゃないの?」
「うん、そうしたかった」
「したかった、って……まさかまた迷子?」
「えへへー。クイズ私はどこでしょう?」
「何言ってんの。じゃあ、まずふしぎちゃんを拾ってから一緒に行こう」
「うん。そうしてくれたまえ」
「なんで偉そうなのかそこを問い詰めたい。で、ふしぎちゃんは今どの辺にいるのかわかる?」
「うーん。多分自分ちの近くだと思うんだけど」
「そこから!?」