マット・ヘルム・シリーズ第2作 破壊部隊 本文へジャンプ
The Wrecking Crew (1960)
ハヤカワ・ポケット・ミステリ 869 (1964/12/25刊) ハヤカワ・ミステリ文庫 HM63-2 (1979/9/30刊) Gold Medal版 Gold Medal版

あらすじ
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読みどころ
 白夜の国スウェーデンを舞台としていることもあって、このシリーズを特徴づける乾いたタッチからはかなりかけ離れ、薄暗い、じめじめとした雰囲気が独特の余韻を残す異色作に仕上がっています。
 再訓練を受け、正規の工作員としての活躍がここからはじまります。
 15年ぶりに任務に就いていることもあって、結構ピリピリしています。ベスとの離縁も影響しているのでしょう。
 任務を慎重に遂行しているため、他の作品に比較して、語り口は説明的で、やや饒舌です。それゆえ、刈り込まれた文章の魅力を欠くものの、思索系スパイたるマット・ヘルム独特の論理の組み立て、嗜好を解する上でうってつけの一冊といえましょう。
 また、本書はハードボイルド小説の翻訳で著名な小鷹信光氏が職業翻訳家として初めて手がけた作品でもあり、そうしたことも、やや肩に力の入った感じがする一因となっているように思います。
 これらが相乗効果をもたらしているのか、的確に読み解ければ全体に漂う緊張感はとても心地よく、シリーズ屈指の味わいがあります。

名言集・箴言集・声に出して読みたい日本語
「うごかないで!うごいたら射つわよ。私たちの欲しがっているものが何だかご存知ね。あれはどこにあるの?」(中略)
彼女は、拳銃に不馴れなものが犯すありきたりの過ちを2つとも犯していた。まず、あまりにも接近しすぎている。ナイフの戦闘距離ほど近くで拳銃を構えているのだ。そしてもうひとつは、殺す心構えのできていない相手に拳銃を構えていることだ。結局彼女の目的はフィルムなのだ。

破壊部隊について
 文中にもあるように、破壊部隊とはM機関の別称です。が、どちらも仮称で、正式の名称をもたない組織です。
 ちなみに、各巻はじめの方に付いている登場人物欄には、2作目以降、
   マット・ヘルム … M機関の諜報部員
   マック … M機関のボス
と記されているので、何冊か読んでいると所属を当たり前のように覚えてしまうことになりますが、実のところこの名称、翻訳された12作品中で2回しか登場しません。(なので、もしかしたら本国アメリカの読者のほうが、M機関という名称を知らない人が多いかもしれない)

 非正規な組織であるため実態がわかりにくいのですが、活動内容については「M機関のお仕事」のページを参照してください。

参考データ
■旅の道程はこちらを参照
  http://www-personal.umich.edu/~pdmce/mattmaps002.htm


15年ぶりに古巣へ戻ったマット・ヘルム、今回の任務ではちょっぴり神経質で緊張しているようですが、次回からいよいよハードな活躍を見せてくれます。

   さらに次の作品を読んでみる。