時は1962年。007が始めて映画化され、それまで一介のベストセラー小説の主人公に過ぎなかったジェームズ・ボンドの名が20世紀の伝説と化した年です。
この「沈黙部隊」では電波障害によるミサイルの迷走を事件の背景にマット・ヘルムの活躍が描かれていますが、これはやはり「ドクター・ノオ」を素材としてハミルトン流に調理したものと考えたほうがよさそうです。
イアン・フレミングの方は、南国の孤島を舞台に、ライダー・ハガード(「ソロモン王の洞窟」等の著者)等の英国伝統の冒険小説の延長線に並ぶような作風でハラハラさせていたのに対し、ハミルトンはあくまで西部劇の流儀で体がカッカと火照るような作風です。
加えて核の地下実験を結びつけることにより、舞台となる大西部とスパイの世界との関わりをうまく必然性のあるものにしていると思います。また、道中を共にする女性のゲイルに対して徹底的に嫌な奴を演じ、生々しい味わいを残します。 |