マット・ヘルム・シリーズ第3作 抹殺部隊 本文へジャンプ
The Removers (1961)
ハヤカワ・ポケット・ミステリ 881 (1965/5/15刊) Gold Medal版 Gold Medal版 Gold Medal版

あらすじ
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読みどころ
この作品から、マットは血も涙もない非情の世界で凄腕のプロとして活躍します。
中でも本作はシリーズ中とりわけ筋肉質でハードな1冊です。
なんせ、別れた妻の再婚相手が営んでいる牧場を舞台に麻薬密売の元締めたちと対決するのですから、著者お得意のウエスタン・テイストが全開で最強の1冊です。

名言集・箴言集・声に出して読みたい日本語
「エリックってだれよ、ねえ?…あれからずっと考えてたのよ。コードネームなんでしょ?」
「そのとおりだ。私のコード・ネームだ。それから言っておくが、私がエリックになったときは、ほんとうに悪党だからね」

タイトルの由来について
再訓練にあたって、ボスのマックは新参者へ以下のような訓示を与えました。

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諸君、これは一種の戦争である」
マックは胸をはって大きな声で言った。
「そして、諸君は自己を一種の兵士と考えることができるだろうが、私はそう考えたくない。
なにかきれいごとに考えて欲しくないのである。
犯罪組織で働いているのであれば、諸君はさしずめ殺し屋(enforcer)だ。
ところが、今は国家のために働いているのだから、諸君は自らをこう呼んでくれていいだろう。
そう、抹殺者(remover)が相応しい言葉だ。この仕事を正確に合理的に表している」

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このシリーズは、人を連れ出したり国家の利益に基づく暗殺が任務の大半で、トラブルシューティング的な工作活動が目的そのものとなることはあまりありません。(登場人物一覧では「諜報員」として紹介されていることと、物語はターゲットへの接近にあたって繰り広げられる腹の探りあい、敵対者との丁々発止を主体に描写しているため、最初のうちはこの点を見落としやすいかもしれませんが)
従って、removeという単語には「殺す」とか「抹殺する」という意味を含むものの、この単語が国家としての活動を正確に合理的に表しているのだとしたら、日本語としては「除去する」と解する方が妥当と思います。
だからといって「除去部隊」だとか「排除部隊」としたのではタイトルとして締まらないですね。
それにしても、こうしたニュアンス全てを含めて remove という単語が使われているのは、まさしく的確な表現だと思います。

あと、余談ですが、私がこのシリーズを読むとき、マックのイメージにはヘンリー・フォンダを思い浮かべています。

参考データ
■旅の道程はこちらを参照
  http://www-personal.umich.edu/~pdmce/mattmaps002.htm

■コミック版について
1968年に木村仁氏によりコミック化されているようです。(小学館「ボーイズライフ」昭和43年11月号、12月号に連載)
現物は未確認。いずれ探したいと思います。


ちょっとハードルの高い一冊ですが、この面白さを飲み込めなかったとしても心配はいりません。
ここまでの3冊でシリーズの下地は完成し、次の作品から著者は自由闊達にマット・ヘルムを動かしていくのですが、とりわけ4〜6作目は、シリーズ中でも大輪の華といえる華々しさを有しているからです。


   次の作品を読んでみる。