過冷却水
過冷却水の起こす不思議な写真などです。
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過冷却水が凍結してシャーベットの山ができます!
一点をねらって出し続ければ氷筍のようなものが。
このような芸術的な(?)氷もできるかも。
パーシャル室(-2〜-5℃)で24時間放置して作った過冷却ドリンク。 細かい氷がたくさんでき、とろみが付いたようになります。 |
写真(上 2 枚)はポリエチレン製の洗浄ビン(数100円で売っています)に入れた、普通の水道水から作った過冷却水です。 マイナス2℃〜マイナス5℃程度の過冷却水から挑戦しましょう。 パナソニック(ナショナル)冷蔵庫ならパーシャル室、三菱電機冷蔵庫なら切れちゃう冷凍、など、冷凍室(マイナス 10℃以下)よりも高い温度(マイナス数℃)の機能がある冷蔵庫を使って、過冷却水を作ってみましょう。何も考えずに容器ごと冷やせば比較的成功しやすいです。水の中に凍結のもととなるゴミや冷凍庫内の霜が入らないよう、蓋付の容器で実験するとよいです。できれば 3 本以上用意して同時に実験すると、1〜2 本失敗しても過冷却水はできますし、複数本過冷却に成功すれば、いろいろな実験ができます。 ペットボトルでの実験が多くあるとおり、PET(ポリエチレンテレフタレート)は過冷却に向くようですが、ガラスのコップや金属容器でも可能です。 水は水道水でも十分に実験できますが、精製水(薬局で100円程度で手にはいります)を使ってみたり、いろいろなペットボトル飲料水をそのまま使ってみたりしてもよいと思います。 ただし、やっぱり冷却中に凍ってしまうことはあります。失敗も実験の内と考えて、どのような条件(冷凍庫の温度、容器の材質、容積、液体の種類など)で作ろうとしたら、何回過冷却水ができて、何回凍ってしまったか、を調べるというのが良いと思います。 冷凍庫しかない場合は・・・ ポイントは急速な冷却を避けるために、適度に断熱性のある容器を選ぶ(容器をタオルで完全にくるむなどして保温してもよい)ことです。また、冷凍庫の温度まで過冷却することはほとんど無いので、冷却する時間を見計らう必要があります。震動もない方がよいのですが、あまり低い温度まで過冷却させなければ案外凍ることはありません。 冷凍庫で実験する場合は、冷凍庫に入れてからの時間を計りつつ、成功するまで繰り返し行いましょう。容器の種類、過冷却させる水の種類、最初の水温、冷凍庫に入れてからの時間、成功 or 成功、をメモしていけば立派な研究になります。 過冷却水の楽しみ方 過冷却水を作ることに成功しても、眺めているだけではただの水です。まずはアルコール棒状温度計で温度を測ってみましょう。静かに過冷却水の中に挿しせばまず凍ることはありません。マイナスの温度になっていたでしょうか。 つぎに過冷却水の中に小さな氷のかけらを入れてみましょう。氷のかけらからどんどん凍って、最後には容器全体に氷が張っていく様子が観察できます。たたし、全部の過冷却水が凍るのではなく、ごく一部が氷に変わっているだけです。よくみると、薄い板のようなものがたくさん重なり合っています。 また、別の容器に注いで右の写真のようなシャーベットの山を作ることも楽しいです。はじめに製氷皿の氷ひとつを置いて、その上に静かに注ぎましょう。少しずつ山のてっぺんを狙っていくと、かなりの高さまで伸ばせると思います。過冷却水の温度がマイナス2℃以上だと透明感のある氷が、マイナス 2℃以下だと白くにごったシャーベット状の氷になります。いずれの場合も、シャーベットの量よりも大量の水が容器にたまっていくと思います。こちらの実験では、過冷却水のごく一部が凍っていることを実感できると思います。 過冷却水が氷になる量は? 過冷却水が凍るときの、氷の量を計算してみましょう。水の比熱は4.2 J/(g℃)(J=ジュール)ですので、1 g の過冷却水が1℃上昇するとき、4.2 J の熱を必要とします。仮にマイナス2℃、100g(約100cc)の過冷却水が0℃まで上昇するには8.4×100 = 840Jの熱量を必要とします。この熱はどこから来るかというと、自らが氷になるときに出す熱(潜熱といいます)から得ることになります。水が氷になるとき 334J/g の潜熱を出すので、先ほどの840 J 分の潜熱は、840(J)÷334(J/g) = 2.5(g) より、2.5 gの過冷却水が氷に変わると、ちょうど0℃の氷2.5g と97.5 g の水が出来上がります。 ほかの温度の過冷却水でどうなるかは、上の計算例を参考に求めてみてください。 豆知識 炭酸の入っている飲料水はかなり低い温度まで過冷却しやすい報告もあります(注意1)。過去にビールを-8℃まで過冷却(注意2)させ、過冷却のまま飲んでみました。 あと、糖分の多い飲み物も過冷却しやすいようです。モル凝固点効果などが作用するためです。また、過冷却を破って凍らせると、水道水や純水と異なりゆっくりと凍っていきます。これは、氷には糖分を含めないため、凍っていくときに氷から残りの液へ糖分を拡散させなければならず、それが抵抗となるためです。 (注意1)炭酸水を作るためにドライアイスをペットボトルに入れてふたをするのは危険です。ペットボトルが破裂して、破片が当たり大きなケガにつながります。絶対にやらないでください。 (注意2)ビールのほか、ガラス瓶に入っている飲料水を冷却すると、凍結した時に瓶が割れてしまうことがあり危険です。割れても大丈夫なように箱の中に入れて冷却するか、こまめに様子をみて凍らないようにするなど、安全に配慮して実験する必要があります。 |
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水+カキ氷(冬は雪がベスト)+食塩で作る冷媒 ここに過冷却させたい液体を入れた容器をつける。
ほかの手順の写真は準備中です |
冷媒の作り方(冷凍庫でうまくいかない方向け) 1.作りたい過冷却水の温度に等しい冷媒を作る。 冷凍食品保存や氷を作るような低温の冷凍庫しかない場合、手っ取り早いのが水+カキ氷+食塩を混ぜて作る冷媒を利用するのがよいでしょう。それぞれ混ぜる量を調整すれば、0℃〜マイナス21℃までの任意の冷媒にすることができます。 水道水 1 L(リットル)、カキ氷 1 kg、食塩 100 g の割合で混ぜると、およそマイナス 5℃の冷媒になります(水道水の温度により冷媒の温度は多少前後します)。温度を下げたいときは食塩を追加し、温度を上げたい場合は食塩を減らします。 食塩は溶けにくいので、はじめに水道水に食塩だけ入れ、完全に溶けるまでよくかき混ぜた後、カキ氷を入れて再びよく混ぜましょう。食塩が溶け残っていると、その付近の温度がとても低くなり、そのため過冷却水ができずに凍ってしまう可能性が上がります。 2.過冷却させる液体を容器に入れ、冷媒に沈める。 過冷却水にする水を入れた容器は、容器内の水が冷媒につかる程度まで沈めます。容器内の空気部分まで冷媒につけると、そこに霜がついて水ごと凍ってしまうことがあります。 ちなみに、小さな容器で少ない水の方が低い温度まで過冷却できる確率が上がります。また、マイナス5℃くらいまでなら、水の種類を問わず過冷却できる確率が高いです。 ペットボトル飲料などはそのまま沈めて冷やせばOKです。 3.時間を測り、過冷却水になったかどうかチェックする。 冷媒の温度と、沈めている時間で、任意の温度(冷媒の温度程度)の過冷却水を作ることができます。何度の液体を、どんな容器で、何度の冷媒に何分つけたら、うまくできた/できなかった、を記録しましょう。 過冷却水は、体積、冷却速度、冷却(到達)温度、容器の種類、経過時間、溶け込んでいる物質、等によって、凍結せずにいられるかの確率が変わります。運がよいとマイナス10℃以下にもできますが、確率的には50%を切ってくるでしょう。
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過冷却水が作る氷の柱(氷筍)
成長の様子 こんなに伸びます |
連続過冷却水観察装置による過冷却水と、そこから伸びる氷の柱です。雪氷研究大会(2008・東京)で発表、「雪氷楽会in東京 −楽しく学ぶ雪と氷のふしぎ体験−」で実演しました。最近では青少年のための科学の祭典でも展示しました。 蛇口を模した管から-1〜2℃の過冷却水が出続けるのですが、過冷却が破れて凍結するとき、洗浄ビンの場合とことなり、柱となって上へ伸びます。この柱は薄い氷の板が重なってできており、その隙間を水が満たしています。
動画(上)の例では水温 -0.6℃程度で、氷の柱は1分間に3cmほど上へ伸びています。氷の柱の中には泡がたくさん挟まって動いていることから、氷がかなりスカスカになっていることがわかります。動画(下)は高さが20cmに達した様子です。こちらの水温はおよそ -1℃です。
この装置で使っている水は普通の水道水です。よく蒸留水や精製水といったきれいな水が過冷却の実験よいといわれます。もちろん、実験的には水道水は低い温度まで過冷却はしにくいのですが、水道水でも0℃よりもあまり下げなければ、安定して過冷却させることができます。 |
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こちらは蛇口から出る水道水をそのまま過冷却させているものです。スポンジの上に氷が伸びてくる場所に出ているのが過冷却水(ピントが甘いです)、奥に見えるのがもとの水道水です。
連続過冷却水観察装置ではペルチエ素子を使って冷却しますが、この実験では、上で示した食塩+雪+水を混ぜて作った冷媒を使っています。およそ-5℃になるよう、それぞれの量を調整して混ぜ、その中に水道水を通すパイプを沈めます。すると、簡単に過冷却水が得られるという実験です。 |
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簡単に過冷却水を作るペットボトル過冷却水生成装置 |
ペットボトルを使った過冷却水生成装置というものを作ってみました。 こちらは、雪氷研究大会(2009・札幌)で発表、「雪氷楽会in札幌」 雪と氷の『ふしぎ』を一緒に考えようで実演しました。最近では青少年のための科学の祭典2009 新潟大会でも出展しました。 装置の詳細は雪氷研究大会講演要旨集(日本雪氷学会HP内)を参照してください。
簡単に手に入る材料で手作りできる装置です。手順を踏む必要がありますが、かなりの人が過冷却水を作るのに成功しています。またどこかのイベントで披露するかもしれません。 |
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過冷却水による氷筍
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おなじみマクロ&フラッシュ撮影により、落下してくる過冷却水の水滴を写すことができます。撮影の場合、上の「過冷却水が作る氷の柱(氷筍)」の写真のように、背景に表面の粗い青い板を置くことで、フラッシュ光が青色になりかつ拡散し、背景から当たるようになります。このとき、画面の中心への拡散光が最も強くなるので、右の写真のように青い後光が写ります。 氷筍部分は透過光となるので内部構造ははっきり写りませんが、代わりに輪郭がはっきり写ります。 照明の当て方によって、表情もさまざまです。上の画像は主に透過光ですが、下の画像は反射(直接光を当てる)もある場合です。過冷却水自身の輝きも増します。 |
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過冷却水の凍結の瞬間
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過冷却水が着氷した瞬間です。微水滴の直径はおよそ2 mmで温度は約-1℃です。 微水滴の中に薄い氷の板が何枚も伸びている様子が見て取れます。1滴が氷の先端を覆っている時間は1/100〜1/1000秒オーダーで、その間に僅かずつ成長します。 |
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成長を続ける氷柱
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連続過冷却水観察装置から成長する氷の柱はよく蛇口まで到達しますが、部屋の温度と過冷却水の温度によっては根元の部分が少しずつ自身の重みで曲がってしまいます。 このとき、倒れつつも氷は成長を続けるので、写真のように枝分かれしていきます。ウェブ上でよく見かける過冷却水の実験では、ペットボトルなどから短時間に大量の過冷却水を注いでいることと、おそらく過冷却水の温度が低いことから、すぐに大量の氷が成長してしまい、柱にはならずに山になると考えられます。 |
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砂糖水の凍結 |
過冷却した砂糖水の凍結です。 冷凍庫内に水100ccに対し100gの砂糖を溶かした砂糖水を蓋をしないまま入れて冷却します。タイミングよく観察すると、六角形の氷が成長しているのを見ることができます。冷凍庫内の霜などが過冷却状態の砂糖水に落下して、そこを中心に氷が成長します。 この方法は大気中の氷晶核(雲粒を凍結させるきっかけとなるもの)がどの程度あるか調べるときに使われる実験の一つです。 参考文献 対馬勝年(1992):雲物理学,富山大学雪氷学講座 |