ユタが愛した探偵
著者・内田康夫(出版元・徳間書店(著者敬称略)


カバー
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●おもな登場人物●章タイトル●感想●印象に残ったセリフ


おもな登場人物(カッコ内は年齢です)
●浅見光彦(33)−フリーのルポライター
●式香桜里(22)−南沖縄観光協会職員
●湯本聡子(29)−琵琶湖テレビ報道部記者


章タイトル
●プロローグ
●第1章 ブクブク茶会
●第2章 孤狼とハイエナ
●第3章 今帰仁城跡
●第4章 北からきた死体
●第5章 いつの日か
●エピローグ


感想
 読んでいて楽しい!! 作品の舞台が初の沖縄ということで、気分はまさに
トロピカル♪

 しかも、登場人物も一部の方が笑撃的でしょう(^m^)。久しぶりにヒロ
インにも魅力を感じました。式香桜里(しきかおり)には、たまらなく燃えた
のを憶えています(^−^)。それにもう一人のヒロインである湯本聡子
(ゆもとそうこ)には、かわいい上に笑わせてくれます。素晴らしい。

 何より笑撃的だったのは、本に付いている帯カバーでしょう。一瞬、店頭で
この本の帯を見た時にショックを受けました!!

「浅見さん、私を抱いて……」
 香桜里はそう言って、上体を凭れかけてきた(帯カバーより引用)。

 正直、これには「おいおい!!」と、
 ……その場でツッコミを入れちゃいました(爆)。

 とうとう、我らが名探偵である浅見光彦坊っちゃまのオトナになるのを暗示
しているような雰囲気。この帯カバーの付いた本をレジに持っていく時の恥ず
かしさが未だに忘れられません(^^)。それにしても完全に話がズレて
おります。大変、大変お見苦しいところを見せてしまい、すみません。


 さて『ユタ〜』のあらすじは、沖縄・知念村の斎場御嶽(せーふぁうたき)
から政財界、出版界、芸能界などのスキャンダルをネタに暴露雑誌を出版する
「裏の真相社」の風間了(かざまさとる)の死体が発見される。風間は事件前
に滋賀・大津の家庭料理店「金波」で、琵琶湖テレビの報道記者の湯本聡子に
放映された彦根の「ブクブク茶会」のイベントに出席した、沖縄南観光商会の
式香桜里のことをしつこく訊いていた。風間の事件と10年前の香桜里の両親
の交通事故で亡くなったこととの接点とは? 美しくも悲しい国・沖縄へ浅見
光彦が飛ぶ--------。

 作品の内容は本当に楽しいけれど、たまらなく切ないです...

 沖縄の光と影が作品全体から語りかけている感じがして、読後は深く印象に
残りました。著者が記したとおり、沖縄といえばまず太平洋戦争や、米軍基地
問題
が頭から離れません。しかし、著者はあえて社会派ものではなく、もっと
身近で親しみの込めった文で沖縄の日常文化を生き生きと書かれており、内地
(本州)にはない陽気さ、美しさ、そして悲しさを伝えています。

 そういえば、「NHK朝の連続TV小説」「ちゅらさん」でも舞台が同じ
沖縄でとても楽しいドラマでした。


 この作品でのキーワードのひとつはユタでしょう。同じ浅見光彦シリーズの
『恐山殺人事件』でイタコ(口寄せ女:死者の魂を自分の身体に憑意させて、
代わりに語るひと)
が出てくるのですが、基本的に能力は同じとか。しかし、
ユタのほうは女性ばかりではなく、男性にもいるらしいです。

 ヒロインの式香桜里がそのユタの能力に優れていて、浅見探偵に手助けして
くれます。そういう能力を信じるか、信じないかは個々の自由だと思います。
 この作品は本質的には陽性なので、これから初めて浅見光彦シリーズを読む
方や、ファンになって間もない方にはうってつけかもしれません。


印象に残ったセリフ
●式香桜里/「第1章 ブクブク茶会」より引用
「空が大きくて、海が広くて、明るくて、陽気で……そして
 悲しみに満ちた国です」


●浅見光彦と湯本聡子/「第4章 北からきた死体」より引用
「えっ、私をベッドまで運んだんですか? うそ……ドアまでだって
 言ったじゃないですか。えーっ、いやだ……じゃあ、浅見さんが
 脱がしたんですか?」
「脱がした? 何をですか? 冗談じゃないですよ。
 僕はそんなことはしませんよ」
「そんなことって、どんなことを言っているんですか?
 ひどいわァ、恥ずかしいなあ……」
「ひどいのはそっちでしょう。僕は何もしてませんよ」


「そんな第三者的な言い方を……ははは、でも所詮は私なんかだめですよね。
 式香桜里さんという強力なライバルがいるんだから」
「驚いたなあ。なんだってそこに式さんが出てくるんですか。彼女はまだ子供
 ですよ。僕よりはるかに年下だし」


●比嘉/「エピローグ」より引用
「ははは、もちろん沖縄にだって秋は来ます。秋も来るし冬も来る。
 雪は降りませんが、沖縄の冬もあるのです。ごく微妙ではあるけれど、
 季節のうつろいは必ずやって来ます。そうして人は生まれ、人は死ぬ。
 笑い、泣き、花は咲き、花は枯れる……」


●式香桜里/「エピローグ」より引用
「いちどだけ、『香桜里』って呼んでください」


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