隅田川殺人事件
著者・内田康夫(出版元・徳間書店/角川書店(著者敬称略)


カバー
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●おもな登場人物●章タイトル●感想●印象に残ったセリフ


おもな登場人物(カッコ内は年齢です)
●浅見光彦(33)−フリーのルポライター
●小松美保子(25)−「立風会」所属の画家


章タイトル
●プロローグ
●第1章 消えた花嫁
●第2章 銀座ヨットハーバー
●第3章 亡霊の執念
●第4章 聖者(セイント)のいる闇
●第5章 浅見光彦の遭難
●エピローグ


感想
 春のうららの隅田川〜d(^O^)b←注:オンチ
滝廉太郎の「花」が似合う季節になりましたので、『隅田川殺人事件』を。


 この『隅田川〜』は、けっこう浅見光彦ファンにとっては気になる内容なの
では??と私は思うのですが。
 そう、あの小松美保子が現われます(!!)。小松さんをご存知ではない方
に説明しますと、浅見光彦シリーズの第3作目である『赤い雲伝説殺人事件』
のヒロインです。浅見さんの母・雪江さんが所属する絵画教室の方なのですが、
実は……この小松さんと浅見さんがホテルの一室で...すみません(爆)。

 まあ、このエピソードは浅見光彦ファンの間では有名です(^−^)。特に
「軽井沢のセンセ(内田康夫先生)」や男性ファンには小松さんはウケがいい
です。それに反し、浅見さん好きの女性ファンは小松さんにヤキモチを焼いて
しまうかも??(`ε´←ヤキモチ??……。

 話を元に戻しますが、その小松美保子が再登場ということと、やはり「旅情
ミステリー」と謳われる内田康夫ミステリーには珍しく、東京がベースの舞台
になっていることでしょうか? 大体、浅見光彦シリーズでは地方がメインの
舞台になりますし、東京が舞台ということでまた地方にない良さがあります。


 さて『隅田川〜』のあらすじは、絵画教室「立風会」に所属する池沢英二と、
浅草の老舗の娘・津田隆子の結婚披露宴の日、隆子が失踪した。
 隆子は家族・親戚と共に、浅草の吾妻橋から日の出桟橋まで、隅田川を往く
水上バスに乗り込んだが、日の出桟橋へ到着すると既に隆子の姿が消えていた
のだった。だが、水上バスの事務員は乗船券のシステムを言い、「お客さんは
全員、降りましたよ」と--------。まるで「神隠し」である。

 結婚披露宴は結局、新婦不在のまま進行することになった。新婦がいないと
いう席で、新郎の池沢はただひとりセレモニーに身を置くことになる。

 池沢の絵画教室仲間である浅見雪江は披露宴に出席していた関係で、息子の
光彦に語ったが、そして10日後、築地の堀割で身元不明の女性の全裸死体が
発見された。浅見は母に依頼を受け調査に乗り出すことにしたが、池沢に警察
に疑われるようになり...


 ……実は私がこの『隅田川〜』を読んだのは、同名ドラマが放送される日で
「あ〜、まだ原作読んでない〜」と、こういう経緯でした(m・・m)。

 『隅田川〜』のドラマはTBS系列で放送されましたが、浅見光彦役を卒業
なされた辰巳琢郎さんが演じておられました(^−^)。
 ということで、原作を読んだあとにドラマのほうを見たので、色々と比較し
ながら楽しめました。
 私が、「浅見光彦シリーズのドラマ」と意識して見た初めての作品が『隅田
川〜』でもあります。


 『隅田川〜』は浅見光彦シリーズの中でも、軽めじゃないでしょうか?

 花嫁が水上バスから突然いなくなるというのが、いかにもミステリーらしく、
物語の展開もアップテンポで読みやすかったです(^−^)。
 始めのプロローグで、浅見少年に狂女が話しをするシーンがとても強いイン
パクトがありました...おぞましさより、美しくも悲しい余韻が残って……。
 それと、浅見光彦と母・雪江の「かけあい」がたまりません。微笑ましくて、
微笑ましくて!!


 インパクトといえば、池沢英二とセイントでしょうか。池沢英二の理念って
私、本当にすごいなあと思いました。何だろう、この人ならきっと現実を変え
られるって……この人は浅草を、隅田川を、そして日本を--------やはり愛
しているのだと、同じ日本人として彼の考えをとても厳粛に感じました。

 セイント(セイントたち)もどこか「世捨て人」然としていますが、やはり
池沢には虚無になれませんし、むしろ慕っていますから。
作品は軽めで読みやすいはずなのに、深いテーマが溢れていて……内田康夫
の小説はいいなあと(^−^)。


 それに『隅田川〜』はラストがショッキングですので、まだ未読の方はおす
すめですし、既にお読みになった方も春の飛鳥山や隅田川、また浅草の浅草寺
(せんそうじ)へお出かけになられたらいかがでしょうか? もしかしたら、
桜が咲いている飛鳥山で浅見さんと出会えるかもしれませんもの(^−^)。


●おまけ
 昔、中学校の修学旅行で浅草へ行ったことがありました。その時、仲見世で
「激辛せんべい」を買いました。食べてみたら、
あまりにも辛さに……(爆)。
 また、2年後に榎木孝明さんが出演した舞台を見に行くために、母と東京へ
行き、浅草にも寄りました。人形焼きと、例の「激辛せんべい」を買いました


印象に残ったセリフ
●少年・浅見光彦に音無橋で話しかけた狂女/「プロローグ」より引用
「坊や、この川の始まりはどこだか知っている?」

「お母さんは、小平で死んだの。胸を刺して死んだの。真っ赤な血が流れて…
…川にね、この川に始まる泉に流れて、川を流れて……だからきっと、もうじ
き、ここに、赤い水が流れて……」


●浅見光彦と浅見雪江/「第1章 消えた花嫁」より引用
「光彦も、毎日暗い部屋でゴロゴロしてばかりいないで、たまには朝の散歩で
もしなさい」

「あ、ゴロゴロはひどいです」

「このところ、原稿に追い掛けられて、ワープロの前に座りきりなのですよ」
「おや、そうなの。キーを叩く音がちっとも聞こえませんけどね」
「それは、あれです……つまり、沈思黙考をしている時なのです」
「沈思黙考も一時間を越えると、わが国では睡眠と呼ぶのだけれど……まあい
いでしょう。でもね、運動不足にならないように、気をつけなさい」
「はあ、気をつけます」


●紳士(池沢英二)/「第1章 消えた花嫁」より引用
「だいたい、酒飲みをチヤホヤするというのは、日本人の悪い習性なのです。
(中略)」

「あなたは勇気のある人ですよ。あれだけの野次馬がいながら、娘さんを救お
うとしたのは、あなた一人だったじゃないですか。私などは、ただその尻馬に
乗っただけです」


●浅見雪江と小松美保子/「第1章 消えた花嫁」より引用
「あ、そうそう、美保子さんはうちのドラ息子をご存知でしたわね」

「じゃあ、あなた、あれっきり光彦とは、お会いになってないの?」
「ええ、一度も……」


●浅見光彦と浅見雪江/「第1章 消えた花嫁」より引用
「へえー、花嫁が消えてしまったのですか」

「それは気の毒ですねえ……その点、僕は幸せだなあ。消えようにも、もとも
と花嫁がいないから」
「ばかなことをおっしゃい」


●池沢英二/「第2章 銀座ヨットハーバー」より引用
「浅草は私の肉親を奪った土地です。だから、浅草や隅田川が好きだと、言い
きることは、正直言って、できません。しかし、浅草や隅田川のために何かし
なきゃいけない--------という、そういう想いは強いですね。中略」


●浅見光彦とセイント/「第4章 聖者のいる闇」より引用
「そういう素っ気ない態度でいいのですか? 池沢さんのために、何かをして
あげないのですか?」
「べつに」
「どうしてそうなのですか?」
「人それぞれだから」
「なんてことを……」


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