インタビュー掲載号のkamipro表紙です
※スレ住人様の協力を元に出来ています、尚、文章転載は管理人が個人でやったものです。
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『喧嘩商売』木多康昭×町山智浩
爛襦璽襪覆靴両況で最強の格闘技は何か瓩箸いΦ霏腓淵董璽泙魴任押
緻密な格闘表現と圧巻のバイオレンス描写、そしてド下ネタも満載して読者を魅了し続ける
「喧嘩商売」(「週刊ヤングマガジン」で大好評連載中)の作者・木多康昭先生に、
本誌にもたびたび登場している評論家・町山智浩氏がインタビューするという。
 その情報をキャッチした「kamipro」編集部は、抜け目なく相乗り取材を敢行。
ポッドキャスト番組「町山智浩の、漫画家に訊け!」
(花沢健吾や福満しげゆき、今号登場している古泉智浩先生などが出演→http://www.radiodays.jp/artist/show/385)収録現場にお邪魔し、
番組の終盤に出演&終了後にも町山氏とともにインタビューすることに成功したのだった。
木多康昭先生といえば、デビュー作となった『幕張』を初めに常に話題作を手がける漫画家である。
今回の特集テーマである格闘マンガの話題はもちろんのこと、とてもじゃないが活字にはできないマンガ界の裏話も含め、語りに語った3時間!
その一部を再構成しここにお届けする次第──。
バトルマンガ史上に残る必殺技〈煉獄〉の秘密がいま、あきらかに!

──先生の『喧嘩商売』は″ルールなしでの最強″がテーマになっていますよね。そこで僕が知りたいのは、先生がどれくらい格闘技が好きなのか、
逆にどんなところに不満を持っているかなんですよ。
木多 もともとプロレスとか格闘技は好きなんですけど、それはゴールデンタイムでやってた頃ですね。大ブームのとき。
裏が『金八先生』だったんですけど、僕はずっとプロレス観てたんで。
でも、山田邦子とかが出てきて観なくなったいましたけど。「なんだよ!」っていう。

──あぁ、悪名高い『ギブUPまで待てない!!』で(笑)。
町山 K─1とか、最近の格闘技ブームは観てないんですか?
木多 PRIDEは連載前に観に連れてってもらいましたね。
町山 実際に選手に会ったりもしました?
木多 ボクサーに会わせてもらうって話もあったんですけど、
マンガを描く時間がギッチリ詰まってるんで、ちょっと……という感じでしたね。

──『喧嘩商売』はオリジナル度合いが強いというか、実在の選手や技をモデルにすることがほかの格闘マンガより少ないですよね。
木多 格闘技というより、喧嘩ですからね。″なんでもあり″で考えるので。
あと、実在の選手をモデルにするのはほかのマンガでたくさんやってるので、それはもう犧僂鵑任い襪海鉢瓩箸いΔ。
格闘技は、マンガの資料というより、一視聴者として観てますね。
逆に観ているぶんには、ボクシングの4回戦みたいな技術のない、気持ちだけの殴り合いみたいなのがおもしろかったりするんですよ。
駆け引きよりも、前に出る闘いが好きですね。

──描くスタンスと観るスタンスは逆なんですね。
木多 実際に格闘技やってるわけじゃないし、だから技術的なところは甘いんでしょうけど。
技なんかはネットで調べて、ホントっぽいのを使ってみる感じですね。
ホントかウソか、突き詰めて調べるには時間が足りないんで。

──そのほうが想像力が膨らむというか。
木多 まあ、普段、誰とも格闘技の会話しないんで(笑)。


──実際の選手で、気になる存在はいますか?
木多 やっぱりヒョードルは好きですね。ヘビー級が好きなんで。打撃にしても寝技にしても、パワーがあるほうが好きなんですよ。チェ・ホンマンとかは好きじゃないけど(笑)。
──試合ではいかがですか?たとえば、去年の大晦日に青木真也が相手の腕を折ったうえに中指を立てたことが騒がれましたけど。
木多 あれは……青木選手があたまにきてたんですよね?
──そうですね。試合前の舌戦とかカード変更で。
木多 それで感情が抑えられなかったんでしょうね。俺は、レフェリーが止めなかったんだから仕方ないと思いますよ。
タップする時間もあったわけだから。ネットのニュースで処分されたって記事を読んで「それは厳しいんじゃないか」って思いましたけど。
でも、青木選手ってまじめな人じゃないですか?

──格闘技に関してはもの凄くまじめですね。
木多 格闘技も紳士じゃないとダメなんですかね。俺はキャラクターが立ってると思うんですけど。
善でも悪でも、試合がおもしろくてキャラクターが立ってればいいと思うんですけどね。
青木選手への処分も、処分自体がヤラセならいいんですけど、そうじゃないわけですよね。

町山 やっぱり、礼に始まり礼に終わるっていう武道的文化があるからですかね。
──いまの格闘技って、基本的に悪役人気がないんですよね。すぐネットで叩かれて、その影響がスポンサーまでいっちゃったりするので。
木多 いいじゃないですかねえ。中指を立てるのは難しいところですけど。
町山 強くて悪いヤツって最高なのに。そんなこと言ったら十兵衛(『喧嘩商売』の主人公)なんか格闘技界にいられないですよ(笑)。
木多 いや、十兵衛は世論を誘導する方法も考えますから。
──妹が2ちゃんを使いこなしますし(笑)。
あ、ダーティーヒーローってことで言えば、先生は秋山成勲はお好きですか?
木多 まあ、好きですね(笑)。秋山さんも格闘技界では嫌われてるんですか?
町山 『kamipro』は好きだよね、秋山(笑)。
──そうなんですけど(笑)、まあ人気があるとは言い難いですね。
木多 そうなんですか。強いじゃないですか、だって。それこそ叩かれて、使われ方としてもったいなかったなと思いますね。
──『喧嘩商売』の金田のなかには、かなり秋山的なエッセンスが入ってますよね。
町山 金田は打撃で闘うじゃないですか、柔道出身なのに。あのへんも秋山と似てますよね。
木多 もともと金田のポジションは、柔道は関係なかったんですよ。
連載前に考えてたのはプロレスラーのキャラクターで。でも、ネット上で真偽はともかく秋山さんがいろいろ言われたんで、

それを取り入れたほうがとっつきやすいだろうな、と。
──たとえばグローブのメリケンサック疑惑ですね。
木多 そういうのを取り入れると、悪の表現としてオーバーじゃないんだって思わせることができるので。
町山 本当におもしろかったですよねぇ、十兵衛と金田の闘いは。
──読んでいるうちに金田に感情移入してくる部分もあって、そういう意味では先生にとっての猴想の秋山瓩金田なのか、と。
木多 いやー。でも秋山さんは強いですからねぇ。
ヌルヌルとかもしなくてよかったと思うんですけど。もっと日本で闘ってほしかったですねぇ。

──秋山はダーティーヒーローとしての自分を受け入れられなかったいう感じもありますね。
あくまでも純粋なスターでありたいという。
町山 そのわりにはファッションセンスがねぇ(笑)。
昔だったら、ああいう存在をうまく盛り上げていったんでしょうけどね。
木多 秋山さんのなかでは、ヌルヌルはダーティじゃなかったんですかね?
──そのほうが幻想はあるんですけど、本人は「故意じゃなかった」と言ってるんですよ。
木多 それは無理だよなぁ。柔道着に洗剤を塗り込むことは、自分で言ってるわけだし。
僕は、秋山さんのなかでは「そこまではアリ」だと思ってたんじゃないかなって。

──その秋山を、『kamipro』では猖皺Ν瓩辰童討鵑任燭鵑任垢韻鼻◆愀嘩商売』の金田は猖眇有瓩犬磴覆い任垢。
そこも「おおっ!」てなりましたね(笑)。
木多 あれは眠くて、いいネーミングが思いつかなかったんです(笑)。秋山さんはキャラクターとしておもしろいですよね。


町山 『喧嘩商売』に〈金剛〉っていう、相手の心臓を殴って気絶させる技が出てきますけど、あれって千石パンチじゃないですか?
木多 千石パンチってなんですか?
町山 先生の『泣くようぐいす』で主人公の千石うぐいすは相手の心臓を殴るハートブレイクパンチを使うんですよ。
全然覚えてないですか?(笑)。
木多 いや、覚えてないです(笑)。
〈金剛〉は、拉致被害者の蓮池薫さんが、拉致されたときに気絶させるために胸をおもいっきり蹴られたという話を聞いて、
「これを使おう」と思ったんですよ。

町山 え、じゃあ〈金剛〉は北朝鮮工作員の技だったんですか!?
──着想が凄すぎますよ!
町山 〈煉獄〉の着想も知りたいですね。あの技がどこから出てきたのか。
木多 武道の型ってあるじゃないですか。あれは基本的に一対複数を想定してるんですけど、
もっと役に立ったほうがいいんじゃないかと思って。

──一対一の実戦で役に立つ型という。
町山 格闘ゲームでよく爛魯甬鮫瓩辰討△襪犬磴覆い任垢。そこからではないんですか?
木多 そこからじゃないんですよ。純粋に「型を覚えるのってもったいないんじゃないかな」っていうところからで。
──僕は、『あしたのジョー』に出てきた〈舞舞(チョムチョム)〉の理論的発展形かなと思ったんですよ。
横にも前にも倒れることができないってところとか。
木多 あ、それは僕もあとで思いましたね。僕も『あしたのジョー』は好きなんで。
あと〈煉獄〉は、理屈は僕が考えたんですけど、個々の技は編集が考えてくれたんですよ。
空手の黒帯が個々の技と、そのつなぎを考えてくれてビデオも送ってくれたんですよ。

町山 〈煉獄〉の演武ビデオが実在するんですか!
木多 「こんなことまでやってくれるんだ!?」って感動しましたね。マンガ家になって初めて、編集者が仕事をしてるの見ましたよ(笑)。
──〈煉獄〉も含めて、『喧嘩商売』は読んでいて空手幻想を凄く感じるんですよね。
今の格闘技界では爍唯唯舛箸いΠ譴弔龍サ鮫瓩噺世錣譴泙垢韻鼻△笋辰僂螳杣鏗米技戦にもロマンがあるなってあらためて感じました。
木多 そこなんですよね。僕はやっぱり猪木の異種格闘技戦が好きだったから。
──『喧嘩商売』では、異種格闘技と総合格闘技がうまくミックスされてますよね。
木多 意図的にではないんですけど、自分が好きだった時代がそこなんですよ。
『空手バカ一代』の頃は極真が最強だって言われたり、そういう幻想を背負ったまま闘うのが好きなんですよね。

──『喧嘩商売』は、そういう部分も含めてリアリティとファンタジーのバランスがいままでにない成立の仕方をしてる気がするんですよ。
木多 マンガとしてはおもしろいけど、理論的に成り立たなくなっちゃうのは気になりますね。
「ここから先に行ったらギャラクティカマグナムだよな」っていう(笑)。
でも、リアルすぎてもマンガとしてどうなのかなって。広く読んでもらうには、格闘技の解説書みたいにしてもいけないんで。

──ギャラクティカマグナム的な、ほとんど超能力みたいな世界にもいかず、
小林まこと先生の『柔道部物語』のような競技スポーツものにもならずっていう新しいバランスだと思います。
木多 あぁ、でも『柔道部物語』は最高峰ですねえ、僕のなかでは。
マンガとしてギャラクティカマグナムもいいんですけど、最低限のリアル、理論をつけたくなりますよね、ボクは。

──理論と言うことで言うと、『喧嘩商売』で出てくる闘いはロジック合戦でもありますよね。
理屈とか心理戦で上回ると優位に立てる。そこが凄く好きなんですよ。
木多 それは、僕が口だけだから(笑)。
あと主人公が根性理論が好きじゃないんですよね。一生懸命さを見せたくないって設定なので。

──梶原マンガも、どんなに荒唐無稽な技であれ理屈はついてましたよね。
木多 子どもの頃はダイリーグボール2号にも納得してたからなぁ(笑)。
──〈煉獄〉が〈舞舞〉の理論的進化バージョンだと思ったのも、そこからなんですよ。
〈舞舞〉が出てくるジョー対金竜飛戦も、最後はロジックで勝ちますし。
木多 あぁ〜、確かにそうですね。
──減量が大きなテーマなんですけど、
ジョーが「おまえ(金)は食えなかったが、力石は食わなかった」という理屈で精神的に優位に立ったところで勝つっていう。
木多 『あしたのジョー』は、何かをやられて、それを返してっていう展開が多いですよね。
そこが好きなんですよ。金竜飛戦は、なかでも一番好きな試合かもしれない。


──もう一つお聞きしたかったのが、童貞の話なんですよ。
主人公の十兵衛と師匠の入江文学が童貞っていう設定になってますよね。
そこに何か強さの秘密があったりするのかな、と。
木多 それはないです(笑)。
──あ、なかったですか(笑)。
ただ、十兵衛に負ける高野と金田は、セックスしてる描写があるんですよね。非童貞だと負ける(笑)。
木多 実際のところ、試合前にヌイちゃうと負けるんですかね?
──よく言われますね。よけいなエネルギーを使っちゃうってことなのか。
木多 でも、板垣(恵介)先生はその理論に絶対に反対でしょうね(笑)。
──じつは先生に童貞のことをお聞きしたのは理由がありまして。
以前、青木真也がツイッターで自分は童貞だって言いだしたことがあったんですよ(笑)。
町山 どんな格闘家なんだ(笑)。
──あと『anan』のセックス特集の話ばっかりしたりとか(笑)。
木多 青木さんはそういうキャラづけを始めたんですかね?
町山 小山ゆう先生の『ももたろう』では、強さとセックスの関係が濃密に描かれてましたよね。
あと梶原一騎もそうですよ。先生、『人間兇器』って読まれましたか?
木多 あ、読んでないですねぇ。あらすじだけは知ってますけど。
町山 あれは凄いですよ。大山倍達的な師匠に憧れてる男が主人公なんですけど、もの凄いコンプレックスの塊なんですよ。
あきらかに梶原一騎本人なんだろうなっていう。
女の人に純情に恋するんだけど、それが認められないとほかの女を拉致して逆さ吊りにしたり三角木馬に乗せたりするっていう(笑)。
木多 あぁ〜。
町山 要は女神に対する純愛と、それ以外はビッチだから何やってもいいんだっていう両極端の気持ちが混然としてるんですよね。
──あ、それって童貞っぽいですね。
町山 そう。精神的な童貞なんですよ「ビッチと何百回セックスしても、俺は童貞なんだ」っていう。
ほかの梶原マンガでもそうですよね。ジョーも飛雄馬も童貞じゃないですか。
──だけど左門とかマンモス西は結婚しますからね。
木多 共通点あるんだなぁ。そこは計算なんですかね。彼女ができないほうが読者に好かれるとか。
──『喧嘩商売』の場合はいかがですか?
木多 主人公の性格次第ですよね。今回は、基本的に性的には純真だっていう設定なんで。
──そこも『喧嘩商売』は梶原マンガにつながる感じがしますねぇ。
木多 そこは考えたことなかったです(笑)。
──今度『kamipro』でもセックス特集やりたいですよ(笑)。


町山 話は戻りますけど、まだ『喧嘩商売』にはアマレスの選手が出てきてないですね。
木多 本当は出てくる予定なんですよ、でも、そこまで続くかどうか……。
町山 やめないでくださいよ(笑)。
木多 僕にとっては、「アマレス=カレリン」なんですよ。
だからアマレスラーはロシア人設定なんですけど、話がそこまでいってないんですよね。
それは話が世界に広がってからで。だからサンボも出してないですし。
アメリカ海兵隊とかも(構想の中には)いますから。いまは日本人だけの話なので、
アマレスとかサンボをアマレスとかサンボを出さないで考えるのが大変なんですよね。

町山 強いヤツらがみんな日本人なのは、まだストーリーがそこまでしか進んでないからなんですね。
木多 設定上は、世界中に強いヤツがいることになってますから。
いま、そこまでやると話が広がりすぎちゃうんで。

町山 じゃあ、ゆくゆくは『グラップラー刃牙』の世界までいってもらって(笑)。
──カマキリと闘うという(笑)。
木多 さすがにカマキリと闘ったときは、板垣先生どうしちゃったんだろうと思いましたけど(笑)。
町山 『喧嘩商売』は今後も本当に楽しみですよ。
十兵衛対工藤がメチャクチャおもしろかったのに、金田戦がそれを超えたじゃないですか。
そして、 これからもっと盛り上がっていくわけですよね。
木多 構想はあるんですけど……。でも疲れてるからなぁ。
── いやいや、お願いします(笑)。
木多 もうね、地獄なんですよ。もっと入れるべきセリフとかエピソードもあったんですけど、はしょったんですよね……。
で、本当はこれからがおもしろいんです。
いまは主人公のダーティさも強さってことになってますけど、じつはそういうことをしなくても強いっていうポジションがあるので、
そこからが 本当はおもしろいというか、本編なんですよ。

町山 まだ本編じゃなかったんですか!?(笑)それは続けてもらわないと!
木多 …………。
町山 返事がない(笑)。
木多 だって、本当に大変なんですよぉ!ドクターストップ寸前なんですから。
町山 先生、そういう場合は〈無極〉を使ってください(笑)。


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