衆議院 第7号 平成18年10月13日(金曜日)
○議長(河野洋平君) 山口壯君。
〔山口壯君登壇〕
○山口壯君 民主党の山口壯です。
民主党・無所属クラブを代表して、テロ対策特別措置法改正案について質問します。(拍手)
まず初めに、このたびの北朝鮮による核実験の件については、現時点では、アメリカも含めてどこもまだ確認するに至っていないわけですが、現実にそのような実験がなされたとすれば、これは、戦後我が国の安全保障上、最大の危機であることは間違いなく、我々国政を託された一人一人として、心して、くれぐれもそれを政争の具に使ったり、選挙の際のレトリックとして言及することのなきよう、厳に戒めなければならないと思います。一人一人のステーツマンとしての見識と良識が問われている。我が日本の将来と、アジアの平和と繁栄を守り、築くため、ここにいる四百八十人全員の知恵を、ウイズダムを結集しようではありませんか。(拍手)
また、二〇〇一年の九・一一以降の、アフガニスタンにおける軍事作戦、イラク戦争、そしてそれらを取り巻くその後の経過を冷静に、注意深く振り返って、テロは武力で解決できるのかどうかという根本の命題をも自問自答しながら、我々は、最も賢明な策を見出していかねばならないのではないでしょうか。日本にしかできないことは何なのかという問いに対して、納得のいく答えを見出そうとする努力も大切にせねばならないと思います。
さて、政府は、海上自衛隊がインド洋で米艦船などに行っている給油活動が十一月一日で期限を迎えるに当たり、これを一年間延長するため、このたびのテロ対策特別措置法改正案提出を六日金曜日の閣議で決定したわけですが、その後の九日月曜日に、北朝鮮は核実験をしたと発表しました。今回の改正案を検討するに当たっては、このような根本的な事態の展開をも念頭に置くべきかと思います。
初めに、これまでインド洋での海上自衛隊の大いなる活動内容について、改めて国民に対し詳細に説明されることを求めます。そのオペレーションにこれまでかかった費用はどれくらいか、そして、コストに見合うどのような成果が上がっているのか、防衛庁長官に伺います。
我々が気になる点の一つは、このように特措法の改正でつないでいくやり方で本当にいいのかということです。今回、これが三回目の改正ですが、特措法といいながらずるずる何度も改正し、機械的延長のようなやり方で本当にいいのか。いつまで続けるつもりか。そこにはいわゆる出口戦略がないのではないか。日本は無料ガソリンスタンドにあらず。総理、特別措置法を改正し一年間延長という、なし崩し的な、機械的な対応に問題はないですか。
また、今回の一年間延長により、インド洋での給油活動は来年で打ち切りと考えておられるのか。日本として出口戦略を持った主体的な対応をすべきであると思います。総理の基本的哲学について答弁を求めます。(拍手)
歴史を振り返るとき、アフガニスタンに手を出した国は必ず大やけどを負っています。イギリスが、その昔、今のパキスタンから一万人の軍隊を送って全滅したこともあります。ソ連は、アフガニスタン侵攻により、結局崩壊しました。
今、盟友アメリカが、ますます悪化するアフガン情勢の中で手をやいている。今のアフガン情勢の悪化は、テロリストの流入とは直接関係のない事態です。アメリカが送ったカルザイ大統領が、有力部族を排除して政権を維持しようとしたことが国内をぐちゃぐちゃにしてしまったことが根底にあります。今後の戦略を練るに当たっては、このままずるずるでは、アメリカはアフガニスタンとイラクで手がいっぱいで回らず、日米として北朝鮮への対応について万全を期せないのではないかということにも思いをいたさねばならないのではないでしょうか。
六日に閣議決定し、その後、九日に北朝鮮の核実験の発表があったのですから、戦略的な図柄が根本的に変わったと言わなければなりません。
緻密に国家戦略を練る立場からは、機械的な延長には強い違和感があります。日本は、九・一一以降、ショー・ザ・フラッグとアメリカに言われて海上自衛隊を送ったわけですから、当初の象徴的な目的は果たしているはず。オペレーションの潮どきくらい、自分で判断できなければならない。でなければ、美しくない。そのような議論、出口戦略の議論をアメリカとやれますか。イラクのみならずアフガニスタンでアメリカが大やけどを負う前に、我が国は真の友人として出口戦略を語りかけるべきではないでしょうか。その中には、我が国としてできること、我が国しかできないことも含まれるでしょう。
そして、ここ東アジアにおいて、北朝鮮問題に対して日米両国として戦略的にいかに対応すべきかを、今回、特措法を機械的に延長するのではなく、新たな戦略的模様も緻密に見ながら、きちんと考えることが我々に求められているのではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
密接に関連することとして、イラクにおける航空自衛隊の活動について一言。
イラクでは、陸上自衛隊にかわって航空自衛隊のC130輸送機が活動していますが、イラクについては既に打つ手なしの状態であることは、アメリカ自身が一番知っているはずです。ここまでぐちゃぐちゃになったら、正直救いようがない。
イラクで活動している航空自衛隊は、イラク特措法に定める安全確保支援、すなわち治安維持のためのアメリカ兵も輸送しており、今や米国の治安維持活動の手助けをしている形になっていますが、我々は、イラクについては、そもそも戦争の大義についても再考せねばなりません。
先日発表されたアメリカの上院情報特別委員会の報告書は、フセイン政権がウサマ・ビンラディンと関係を築こうとした証拠はないと断定、大量破壊兵器についても、少なくとも一九九六年以降存在しなかったと結論づけています。
ブッシュ政権がCIA情報等をもとに挙げた開戦理由がことごとく覆されたわけで、イラク戦争にはそもそも大義がなかったことがはっきり示されたわけです。今や当時の当事者からもそのような証言は枚挙にいとまがなく、メディアにも載っている。大義がなかった戦争、それでイラクをぐちゃぐちゃにして、米軍みずからの犠牲者のみならず、イラクの民間人の犠牲者も毎日ふえている。そのような経緯の延長線上に我が航空自衛隊があるということになってしまう。これをずるずるやるのは、余り美しくないのではありませんか。
ちなみに、総理は美しい国と言われますが、これにはダ・ヴィンチ・コードのように何かメッセージが隠されているのでしょうか。美しい国、逆から読むと、憎いし苦痛。一見立派な政策構想が、現実には格差を広げ、国民の負担はふえる一方。憎いし苦痛。よくできている。ダ・ヴィンチ・コード顔負けの、さしずめ安倍コードですか。(拍手)
イラクについては、日本もアメリカに言うべきことは言わねばならない。総理、日本は唯々諾々と従うのみでなく、真の友人として、アメリカに出口戦略につき促すべきではないですか。総理の哲学をお聞かせ願いたい。
とかく最近の日本は、アメリカに唯々諾々と従い過ぎていませんか。アメリカとの間合いのとり方につき、総理、そして外務大臣、どのように考えておられますか。
さらに、例えば、ことし七月のサンクトペテルスブルグ・サミット後に、アメリカがイランの核施設に攻撃をしかけるのではないかとの話があったはずです。外務省も幹部会等で真剣に議論したと思うし、それについては当時の安倍官房長官にも報告が伝わったと思いますが、イランの核施設は通常爆弾では届きませんから、核を使うという可能性も言及されていたという。アメリカがイランに核を使った場合、総理、まさか支持をされますか。
アフガニスタンにおける軍事作戦、イラク戦争、その後の経過を冷静に注意深く振り返るとき、力によるテロ解決には限界があることを知らねばならないと思いますが、総理、そして外務大臣、いかがでしょうか。所見を伺います。
最後に、防衛庁にかかわることとして、近年、自衛官を含む防衛庁職員の自殺者数が異常に多いことに驚かざるを得ない。平成十三年度六十四人、十四年度八十五人、十五年度八十一人、十六年度百人、十七年度百一人。一体何が起こっているのですか。防衛庁から防衛省への移行が今国会で論じられようとしていますが、なぜこのように異常に多いのか、どこかに無理があるのではないか、まだ省移行には無理があるのではないか。総理、そして防衛庁長官の答弁を求めます。
一七七三年にベンジャミン・フランクリンは、友人の政治家クインシーへの手紙の中で、よき戦争、あしき平和などというものはないと書きました。世に、よき戦い、ましてや聖戦などというものはない、いかにあしく見えようと平和にまさるものはないというのが、アメリカ独立宣言の起草者ベンジャミン・フランクリンの信念でした。
その子孫に当たるはずの今のアメリカの指導者の中には、フランクリンとはかなり異なる考え方を持った人たちもいるようですが、我々日本人の本来のアイデンティティーはどちらに近いのでしょうか。日本にしかできないことは何なのかという問いかけに対して納得のいく答えを求めんとするとき、ベンジャミン・フランクリンが残した、よき戦争、あしき平和などというものはないという言葉を大事にしながら、我が国の対応につき賢明を期したいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
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