■ 食と健康 
◆『病気にならない生き方』新谷弘実(サンマーク出版、2005年)
◆『胃腸は語る』新谷弘美(弘文堂、1998年)
◆『世界が認めた和食の知恵』持田鋼一郎(新潮社、2005年
◆『久司道夫のマクロビオティック入門編』久司道夫(東洋経済新報社、2004年)
◆『マクロビオティック入門』久司道夫(かんき出版、1997年)

◆『病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める- 』新谷弘実(サンマーク出版、2005年)

著者は、世界で始めて、大腸内視鏡を使うことでポリープを切除することに成功した胃腸内視鏡外科医。内視鏡でこれまでに30万人以上の胃腸を診てきた結果に基づいて書かれた本だ。その膨大な臨床結果から「健康な人の胃腸は美しく、不健康な人の胃腸は美しくない」という。人に人相があるように胃腸にもそれぞれの「胃相、腸相」があり、「胃相、腸相」にもっとも大きな影響を与えるのは、食歴と生活習慣だという。 著者がたどり着いた「健康で長生きする方法」は、マクロビオティックや少食・断食の甲田医学を内視鏡による臨床の立場から裏付ける形になっている。その意味で非常に興味深く読んでいる。

たとえば動物食は腸相を悪くするという。肉食が腸相を悪くする最大の理由は、植物繊維が少なく、脂肪やコレステロールを大量に含んでいるためだ。肉食を続けると腸壁がどんどんかたく厚くなるが、これは食物繊維がないために便の量が少なくなり、それを排出するため必要以上に蠕動しなければならないからだという。過剰な蠕動運動で腸壁を構成する筋肉が鍛えられ、厚く大きくなってしまうのだ。 腸壁が厚くなると、内腔は狭くなり、腸の内圧は高くなる。すると中から外に向かって粘膜が押し出されるという現象が起きる。

この現象は「憩室」と呼ばれるポケット状のくぼみを作る。 その結果、腸に長く滞在する「停滞便(宿便)」がたまる。停滞便は腸壁にこびりつくようにたまるが、そこに憩室があれば、そのくぼみに停滞便が入り込み、さらに排泄されにくくなる。停滞便は毒素を発生し、細胞にポリープを作り出す。 以上は、過剰な肉食が体によくない理由を語り、さらに宿便とは何かを語っている。甲田氏の本を読んでも宿便とは何かがいまひとつ分かりにくかったが、上の説明では少なくとも憩室のくぼみに滞留する便という意味では明白である。

よい胃相、腸相の人たちに共通していたのは、エンザイム(酵素:生物の細胞内で作られるタンパク質性の触媒の総称)をたくさん含むフレッシュな食物を多くとっていたことであった。それは、エンザイムを生み出す腸内細菌が活発に働く腸内環境を作るのにも役立っていた。 一方、胃相、腸相の悪い人たちに共通していたのは、エンザイムを消耗する生活習慣であった。酒やタバコの常用、大食、食品添加物を含んだ食事、ストレスの多い生活環境、医薬品の使用等々が、エンザイムを大量に消費する。要するに体内にあるエンザイムの量が、その生命体の命運を握っているのである。

現代西洋医学では、その人が何を食べてきたかという「食歴」はほとんど調べない。潰瘍性大腸炎、クローン病、膠原病、白血病などが「原因不明の難病」とされるのは、食歴を調べないからである。食歴と病気の関係がもっと研究されるようになれば、「原因不明」の病気はずっと少なくなるはずだ。 ガン患者の食歴を調べていくと、動物食(肉や魚、卵や牛乳などの動物性の食物)をたくさんとっていたことが分かる。ガンの種類を問わず、この傾向だけは同じであったという。 著者の提唱する健康法では、穀物(玄米など)と野菜中心の食事をし、肉、魚、乳製品、卵などの動物性食物はなるべく少なくすべきとされる(全体の15%以下)。これは基本的にマクロビオティックと同じ考え方である。

著者は、基本的にはエンザイムを多く含むのがよい食物、エンザイムが少ないのが悪い食物と考える。そのためにはミネラルを多く含んだ超えた土地で、化学肥料や農薬を使わずに育てられたものを収穫してすぐに食べるのがよいという。新鮮でない、酸化した食物が体内に入るとフリーラジカル、とくに活性酸素を作り出す原因となる。ココアに多く含まれるポリフェノールや大豆製品に含まれるイソブラボンが良いのは、それらが抗酸化物質だからである。


◆『胃腸は語る―胃相 腸相からみた健康・長寿法 』新谷弘美(弘文堂、1998年)

同著者の本はすでに『病気にならない生き方』(サンマーク出版、2005年)を取り上げた。世界で始めて、大腸内視鏡を使うことでポリープを切除することに成功した胃腸内視鏡外科医として著名だ。その著者の最初の本がこれである。内視鏡でこれまでに30万人以上の胃腸を診てきた結果に基づいて書かれている。その膨大な臨床結果から「胃相、腸相」にもっとも大きな影響を与えるのは、食生活だという。

著者は、内視鏡で多くの人の腸相を見てきて、獣肉食がどんなに腸相を悪くするかをつぶさに見てきた。肉を常食にするアメリカ人の腸は、固く短く、粘膜にもひだが多発し、宿便も多く「胃相」が悪いという。そういう腸は、大腸ポリープ、大腸ガンが多い。 それに比べ欧米人でも穀物、豆類、野菜・果物など複合炭水化物をよくとる人や菜食主義者の大腸はたいへん柔らかく、比較的長いという。柔らかくてひだが少なく動きがスムーズであり、排泄も順調で宿便になりにくい。したがってポリープやガンにもなりにくい。 つまり、著者が勧める食事内容は、大枠において甲田医学やマクロビオティックの主張と同じである。長年の内視鏡による「胃相、腸相」の臨床観察が、西医学や甲田療法、マクロビオティックスの主張を裏付けたとも言えるだろう。

よく言われることだが人間の歯は、臼歯(穀物用):門歯(野菜・果物用):犬歯(肉・魚用)=5:2:1の割合になっている。このような歯の構成の割合で食べるととてもバランスのよい食事になる。穀物は、もちろん白米や白パンおり、玄米など精白されないものがよい。食べ始めて一年後に胃腸の検査をすると、胃相・腸相が非常に改善されているのが分かるという。

動物性食品は、10から15%とし、でくるだけ小魚などでとる。一日100グラムでよい。 私自身が注意したいと思ったのは、コーヒー、日本茶、中国茶、紅茶、どくだみ茶などタンニン酸が多く含まれる飲料を避けること。コーヒーはほとんど飲まないが、茶はよく飲んでいるからだ。タンニン酸が多く含まれる飲み物を空腹時に大量に飲んでいると胃相が悪くなり、委縮性の変化が見られるという。これからはタンニン酸の少ない飲み物(たとえば十六茶)をできるだけ飲もう。

さらには、夜寝る前に決して食べたり飲んだりしないこと。なぜなら、胃が空っぽになっているときは人間のからだは正常に強い胃酸を出し、胃中の雑菌やヘリコバクター・ピロリ菌を殺して、自然治癒力・抵抗力・免疫力をつかさどる腸内細菌のバランスを保つからである。 最近、食に関する本を取り上げることが多いが、私自身が健康への関心が深く、またこうした食についての考え方が現代の医学や栄養学の盲点、問題点を浮き彫りにする点にも深い興味を感じるからである。


◆『世界が認めた和食の知恵―マクロビオティック物語 (新潮新書) 』持田鋼一郎(新潮社、2005年)

マクロビオティックとその発展を担った石塚左玄、桜沢如一については、島薗進『“癒す知”の系譜―科学と宗教のはざま・ニューヒストリー近代日本』(吉川弘文館、2003年)で、ある程度は知っていたが、あまり興味をもてないでいた。桜沢如一の説く無双原理(易)や、身土不二論にどんな説得力があるのか、あまり語られていなかったからかも知れない。

本書は、非常に興味深く読むことができ、俄然マクロビオティックへの関心が高まった。マクロは「大」を、ビオスは「生命」を意味し、マクロビオティックは日本古来の食の知恵を生かした食養法のことである。健康と長寿のためには玄米菜食を中心とした伝統的な和食がもっとも望ましいという医食同源の主張だ。

書店で見たりマスメディアから判断するかぎり、この言葉自体は日本ではあまり一般化はしていないようだ。しかし、少しでも食と健康のことに関心のある人々にとっては、マクロビオティックの考え方そのものはなじみ深いかもしれない。

この本が興味深かったのは、第一に桜沢如一の具体的な生き様を通して、その一見常軌を逸するかに思える大胆さ、行動力、スケールの大きさ等がかなり分かったからである。無双原理(易)や身土不二論ももう少し詳しく勉強すれば、何かしら説得力のある主張なのかもしれないと思わせるものがあった。彼の反戦の主張や行動、世界連邦主義やその運動にも改めて関心を持った。

第二に、彼の食養論に基づく実践が多くの病気を治している事例を読んで、科学的なデータとしては充分とはいえないが、ここには無視できない真実があると感じさせてくれるからである。また、桜沢は小食や断食を直接のテーマとはしていないが、玄米菜食は明らかに小食と関係が深い。両者がどうからんで健康や病気の治癒に関係してくるか、大いに関心をそそられた。

第三に、桜沢如一の弟子の一人・久司道夫の歩みについて詳しく知ることができた。彼についてはほとんどまったく知らなかったが、桜沢によってアメリカに送り込まれ、アメリカでマクロビオティックをここまで普及させるのに多大な功績のあった人物である。アメリカでの普及にともなう苦労や挫折、にもかかわらずじわじわと着実にアメリカに定着していくプロセスも、興味深く読むことができた。


◆『久司道夫のマクロビオティック 入門編 (Kushi macro series) 』久司道夫(東洋経済新報社、2004年)

かつて気功関係の合宿に参加したときに一週間マクロビオティックの献立を体験した(通して4度ほど体験した)。精神世界関係の雑誌でときたま特集している記事を眺めたことがあった。しかし、マクロビオティック関係の単独の本で勉強するのは『世界が認めた和食の知恵』がはじめてだった。

続けてこの本を読んだ。ごく平易に書かれた入門書である。 『世界が認めた和食の知恵』で久司道夫のアメリカでの苦労や普及活動を知ったが、この本でアメリカでの普及度がこれほどまでであることを知って驚いた。もう15年も前、ALT(アシスタント・ラングウィッジ・ティーチャー)のアメリカ人青年に、牛乳があまりに体によくないと意見を聞いたが、今考えるとこれは、アメリカでのマクロビオティックの普及を物語っていたと推測できる。

1977年にアメリカでマクバガン・レポートが発表され、アメリカ人の食事目標がしめされた。委員会のリーダーであるマクバガンや原案をまとめた科学者・ヘグスティッド博士は、久司らと何度も話し合って、マクロビオティックに沿った食事目標を作ったのである。このときからアメリカ社会の食生活は大きく変わったという。ところが、そのレポートの普及版に当たるものが作られたとき、食肉業界や酪農業界から圧力がかかって、「肉、卵、牛乳、乳製品は特に必要ない」とするマクロビオティックの考え方は、トーンダウンさせられたらしい。

玄米中心の菜食という点でマクロビオティックは、甲田療法や西式健康法と大筋で一致している。もちろんマクロビオティックは、断食や朝食抜きは主張しない。しかし、マクロビオティックも基本的に非常に少食になるので、少食という点では共通している。久司らが考える大体の一日必要カロリーは1800だという。もちろん個人差があると断ってはいるが。 マクロビオティックの標準食は、分量の40%〜50%を玄米などの穀類で、5〜10%を味噌汁などのスープで、20〜30%を煮たり炒めたりした野菜で、さらに5〜10%を豆類や海藻類でというものである。週に数回は、魚介類や果物を加えてよいとされる。月に数回は、肉類やケーキ、コーヒーなどもよいだろうとされる。 自分自身の食事内容をこれに近づけるには、もう少し努力が必要だが、少しでも近づけるようにしたいと思う。


◆『マクロビオティック入門―食と美と健康の法則 』久司道夫(かんき出版、1997年)

著者は、アメリカを中心としたマクロビオティック食の普及に重要な役割を果たした人だ。私自身、玄米生菜食を中心として朝食抜きや一日断食を勧める甲田医学に関心を持ち、その一部を実践するようになって、マクロビオティックへの関心も深まった。マクロビオティックと甲田医学には多くの共通点があるが、若干の違いもある。その共通点は何か、違いは何か、という意味でも面白く読める。

肉、卵、乳製品、砂糖をやめ、穀物と野菜を主体としてい点は、マクロビオティック食と甲田療法が勧める食事とはほぼ共通だろう。大きな違いは、甲田療法では生菜食を勧めるのに対して、マクロビオティックでは、とくに生菜食を強調しているわけではないということだろうか。 この本で興味深いのは、食材の陰陽を強調し、そのバランスの大切さを説いていくることだ。ただ、何が陰で何が陽かについては、素人の私にとっては充分に説得力のあるものではなかった。このあたりがまだ素直に入り込めないところだ。しかし、食事の改善による各種病気の治癒例は、興味深く説得力がある。著者は、マクロビオティック食を世界各地で指導しており、その個々の事例がこの本に散りばめられているのだ。

マクロビオティックの考え方は、食生活を正し、血液を変え、血液を浄化することで自然治癒力を高めることである。現在の医学は、たとえばエイズに対して、ウィルスを追いかけてこれをいかに殺すかに専心するが、自然の抵抗力を増加させてウィルスの活動を抑えたり、消滅させようという発想がない。だからマクロビオティックは、近代医学の範疇にはいってこないのだという。

食物が正しくないと経穴がふさがる。脂肪分が多いと、汗腺の穴も脂肪でふさがり汗が出にくくなる。排泄が充分に出来ないと、脂肪やタンパク質の多い高エネルギーが蓄積させる。砂糖、肉、アルコール、香辛料などのエネルギーがたまり、細胞が分裂する以外に方法がなくなる。これがガンだという。 皮膚病や皮膚のアレルギーを起こす人と起こらない人とを比べると、皮膚のアレルギーを起こす人の方が、内臓にガンができる確率が五分の一と少ないという。皮膚を通して排泄作用が働くから、内部に蓄積することが少ないのだ。

排泄を重視し、血液を浄化して自然治癒力を高めるという考え方は、甲田光雄、石原結實らの考え方と共通するものである。 最後に、やはりと思ったのは、電子レンジを危険性に触れていることだ。自然界にはありえない急激なエネルギーを与えて食物を変質させるのだから、健康によいはずがないと指摘する。電子レンジだけでなく電気で料理をすることも避けたほうがよい。著者をたずねる人で、ガンでなくなった人の90パーセントが電気を使って料理をしていた。そしてガスで料理をしている人のほうが回復が速い傾向があったという。


 

 


 

 


 

 


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