浮世絵 義経記
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 義経記 


 ”判官びいき”という言葉があります。日本人の心情を語るときにしばしば用いられる。この言葉が意味するように義経の生きざまは多くの日本人に好意をもって受け入れられてきた。だからこそ義経に関する文献は中世から現代にいたるまで巷に数多く存在しています。私の子供の頃は、誰でも義経や牛若丸の伝記小説の1、2冊は読んでいた。今の子供達が読んでいるかどうか分らないが、それでも名前くらいは知っているのではないだろうか。もっとも義経の記録は、その多くは伝承にもとずくもの。ここに記載した義経記(ぎけいき)も歴史を正確に語ったものではない。”判官びいき”は初めて義経記が出版された当時すでに存在していた言葉だそうである。判官びいきで書かれた義経記が出版されて、更に多くの人が判官びいきになったのではないでしょうか。
 義経記が成立した時期は諸説あるようですが、現在に伝わる物語として纏まったのは室町時代とするのが一般的のようです。作者は不詳。義経に関する各種・各地方の多くの記録・伝承をある特定人物が寄せ集めて纏め上げたと推測されますが、その人物が誰であるのかは想像の域をでないようです。
 文学的な検証はともかく、このサイトでは初めての挿絵入り義経記とされる元和・寛永時代の印刷本と、その後に出版された寛永12年の印刷本、寛文10年の印刷本、元禄2年の印刷本を掲載します。元和から元禄までの60年ほどの間に挿絵の様式、表現方法も随分と変わってきます。初期の刊本の挿絵は浮世絵とは言い難いものですが、浮世絵のルーツを探る意味からは興味深いものがあります。

作品のタイトルに付した「浮世絵」「絵本」は分類のために便宜上つけた符号です。「浮世絵」は主として一枚物の摺りもので、連続絵、シリーズものを含みます。「絵本」は絵入本、狂歌本、狂言本、その他 book形式のものすべてを含みます。  

 絵本 元和寛永期 義経記   それまで写本で流通していた義経記が初めて印刷本として登場したのは慶長年代(1596〜1615)とされる。その後の元和年代(1615〜1624)から寛永年代初期に丹緑彩色の挿絵入り本が刊行された。挿絵の絵師、版元は不明。全8巻で、合計66図の挿絵がある。 

 絵本 寛永12年 義経記   元和・寛永期刊本に次いで寛永12年(1635)に出版された挿絵入り義経記で挿絵の数は元和・寛永期刊本と同じ66図。ただし一図は2ページにまたがり印刷され、その分絵が伝える情報量は多い。また、文字は漢字が多用されてページ数の増加が抑えられている。挿絵の絵師、出版元は不詳。 

 絵本 寛文10年 義経記   寛文10年(1670)吉野屋惣兵衛より出版。挿絵は全部で80図あり、画風から菱川師宣が描いたと推定。寛永期刊本と比べ行数が12行から14行になり、その分ページ数が減少している。挿絵に彩色は施されていない。 

 絵本 元禄2年 義経記   出版年 元禄2年(1689) 版元 うろこがたや
 従来の義経記と大きく構成を変更して出版されている。これまで8冊で完結していたものが7冊に。全体のページ数も約三分の一に減少。そのなかで挿絵のスペースが4割ほどある。各巻に目録はなく、これまでの義経記の主要な部分をピックアップしたダイジェスト版。

 絵本 判官みやこ物語    出版年 不詳  版元 秋田屋市兵衛 

 絵本 義経一代記    出版年 不詳  版元 鱗形屋 

 絵本 御前義経記   出版年 元禄13年(1700) 版元 上村平右衛門 他
 タイトルから常盤御前或いは静御前と義経を主人公とした伝記ものと想像したが、違っていた。作者は西澤一風。御前義経記は平家物語と義経記から主要な部分を抜き通り、これを当時の好色な町人生活に当てはめたストーリー。 

 絵本 御曹司初寅詣   出版年 元禄14年(1701) 版元 正本屋喜左衛門
 近松門左衛門作の浄瑠璃本。絵師の名は不詳。 

 絵本 古戦場鐘懸の松    出版年 宝暦11年(1761)  版元 不詳 

 絵本 牛若弁慶嶋渡    出版年 不詳  版元 山本九兵衛 

 絵本 中村座 勧進帳   出版年 天明4年(1782) 版元 不詳
 中村座の芝居絵本 

 絵本 義経千本桜   出版年 不詳 版元 不詳
 義経千本桜は延享4年(1747)大阪竹本座で初演さえた芝居。2代目竹田出雲、三好松洛、並木千柳の合作とされる。掲載本は江戸後期、芝居興行のパンフレットの役割として出版されたものと思われます。

 浮世絵 勧進帳 他   江戸後期出版 版元不詳
 三代目豊国、歌川国芳の浮世絵 

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