浮世絵 八文字屋本
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 八文字屋本 

 八文字屋は京都の麩屋町にあった書林。八文字屋本はこの書林から出版されたもののほか、他の書店から出版されたものでも江島其磧および八文字自笑、その子・其笑、瑞笑の著作などは八文字屋本と呼ばれている。
 元禄時代(1688〜1703)以前の京都の書林としては山本九兵衛、鶴屋吉右衛門が大手として君臨して浄瑠璃本などを出版しており、八文字屋も歌舞伎の筋書きなどを書いた本を出版していたがその規模は微々たるものだった。しかし(4代目?)安藤八左衛門(自笑)の代になってから、元禄12年(1699)に出版した歌舞伎役者の評判を書いた「役者口三味線」が大評判を得、元禄14年(1701)に出版した「傾城色三味線」が西鶴以来の浮世草子の傑作と評され、以降たちまちのうちに繁盛し、他の書店を吸収するほどの力を得る。評判を得た理由は自笑の時代を見るに長けた商才と機敏な行動に加えて、執筆者に江島其磧、挿絵に浮世絵師・西川祐信およびその門弟を使ったことにある。また、板下作者、彫師も名工をたのみ、本の体裁も他よりも立派に整えたことにもある。
 江島其磧は通称を江島屋市郎左衛門といった。寛永7年(1630)京都京極通り、誓願寺の門前で大福餅(大仏餅)を売って巨万の富を蓄えた商家に生まれる。しかし西鶴の好色本の登場人物のごとくの放蕩を尽くして没落。浄瑠璃本を手始めに作家に転身し、自笑と組んで大成功を収める。
 ただし、当初の出版物の作者名には其磧ではなく自笑の名が記されている。しかし、実際の作者は江島其磧で自笑はプロデューサーの役割であったようだ。其磧は当初は自分の名前を出すことを嫌っていた(?)らしいが、後になって、出版される本の評判が高まるにつれて利益配分をめぐって自笑と対立。 其磧は正徳4年(1714)に独立して江島書林を開業し、そこで出版した本の中で其磧は八文字屋の本は全て自分が書いたもの(一部分については自笑が書いたことも認めている)であることを暴露。自笑は”多田南嶺”らに執筆させてこれに対抗する。江島其磧の暴露にもかかわらず、また商売敵の正本屋(山本九兵衛)や鶴屋が其磧に肩入れするも、多くの読者は引き続き八文字屋の本を購入。もともと資本力の乏しかった其磧は享保4年(1719)に力尽き、自笑と和解して再び八文字屋から出版することになる。ただし、これ以後の出版物の作者の名には自笑のほかに其磧も付け加えられることとなった。
 八文字屋は「役者口三味線」を出版して以降、約70年間にわたり京・大坂の出版界で中心的な役割を果たしたが、作品が評価されているのは自笑・其磧の時代の出版物で、自笑を継いだ其笑・瑞笑の時代のものの評価は低い。また出版物の内容は多岐にわたるが、ここでは国立国会図書館のデジタル化資料をもとにして、著作者別に分類して掲載した。なお、実際には江島其磧が書いたものでも序文で作者が自笑となっているものは”自笑”作としています。
 挿絵を描いた絵師の名は、一部を除いて記されていないが、何れも西川祐信とその一門と思われます。


作品のタイトルに付した「浮世絵」「絵本」は分類のために便宜上つけた符号です。「浮世絵」は主として一枚物の摺りもので、連続絵、シリーズものを含みます。「絵本」は絵入本、狂歌本、狂言本、その他 book形式のものすべてを含みます。 

 八文字自笑 江島其磧

 絵本 傾城色三味線   全5巻
 作 江島其磧(作者名の記載ない)  出版年 元禄14年(1701)   

 絵本 野白内証鑑   全4巻(全5巻の内、第5巻が欠落)
 作 八文字自笑  出版年 宝永7年(1710) 

 絵本 頼朝三代鎌倉記   全5巻
 作 八文字自笑  出版年 正徳2年(1712) 

 絵本 野傾咲分色ヲ    全5巻
 作 八文字自笑  出版年 享保3年(1718) 

 絵本 日本契情始   全5巻
 作 八文字自笑・江島其磧  出版年 享保6年(1721) 

 絵本 舞台三津扇  全5巻
 作 八文字自笑  出版年 享保7年(1722)

 絵本 出世握虎昔物語    全5巻
 作 八文字自笑・江島其磧  出版年 享保11年(1726)  

 絵本 富士浅間裾野桜  全5巻
 作 江島其磧・八文字自笑  出版年 享保15年(1730)

 絵本 高砂大嶋台   全5巻
 作 江島其磧・八文字自笑  出版年 享保18年(1733)  

 絵本 風流友三味線   全5巻
 作 八文字自笑・江島其磧  出版年 享保18年(1733) 

 絵本 風流西海硯   全5巻
 作 八文字自笑・江島其磧  出版年 享保20年(1735) 

 絵本 愛護若一代記   全5巻
 作 江島其磧・八文字自笑  出版年 享保20年(1735) 

 絵本 兼好一代記   全5巻
 作 八文字自笑・江島其磧  出版年 元文2年(1737) 

 絵本 忠孝寿門松   全5巻
 作 八文字自笑  出版年 元文3年(1738) 

   

   


 八文字自笑 八文字其笑

   

   

   

   

   


 八文字其笑 八文字瑞笑

   

   

   

   

   



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