林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』

最寄り駅から4割も遠くなったブランズシティ守谷

東急の新築マンションでも広告表記訂正

初出:林田力「東急の新築マンションでも広告表記訂正」オーマイニュース2008年2 月1日

 以前、東急リバブル株式会社による仲介マンションの媒介広告で虚偽内容について記事「東急リバブル、間取り図でも虚偽広告」を書いた。

  今度は東急不動産株式会社らが分譲し、東急リバブルが販売を代理する新築マンションで広告表示の問題が判明した。問題の物件は東急不動産株式会社、東京急行電鉄株式会社、中央商事株式会社が分譲する「ブランズシティ守谷」(守谷市ひがし野)である。ブランズシティ守谷は当初、最寄り駅(守谷駅)までの所要時間を徒歩5分としていたが、2008年1月下旬に徒歩7分に修正した。

 遅くとも2008年1月20日以降、ブランズシティ守谷の公式ウェブサイトのトップページに以下の「訂正とお詫び」が掲載された。

駅徒歩分数表示については、これまでペデストリアンデッキエレベーターを起点とし、「駅徒歩5分」の表示をして参りましたが、同施設が首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス)ではないことが判明したため、守谷駅八坂口を起点として 「駅徒歩7分」とすることと致しました。
お詫びして訂正させて頂きます。

 前述の通り、ブランズシティ守谷の事業主は3社だが、以下の理由から東急不動産主導であると推測される。

・ブランズシティは東急不動産の大規模型マンションのブランド名である。
・ブランズシティ守谷のウェブサイトのドメインmoriya550.comの登録者はTOKYU LAND CORPORATION、すなわち東急不動産である。

 ブランズシティ守谷の表示修正は不動産業者として信じ難いものである。単なる事務的なミスでは済ませられない、事業者の体質をうかがわせるものである。

  第1に最寄り駅までの所要時間は不動産購入を検討する上で重要な要素である。そのような重要な要素に誤表記があるということ自体が問題である。特に守谷を 含む「つくばエクスプレス」沿線は「つくばエクスプレス」開通によって通勤通学圏として開発された場所が多く、駅からの距離は生活の利便性を図る上で重要 な要素である。

 また、ブランズシティ守谷のような超高層大型物件の場合、マンション敷地から自宅玄関まで3〜5分かかる。敷地が広ければ、その分、歩く必要がある上、高層階ならばエレベーターの待ち時間がかかる。

  第2に修正前後の幅が大き過ぎる。徒歩5分から徒歩7分への変更により、ブランズシティ守谷は最寄り駅から4割も遠くなったことになる。感覚的にも徒歩5 分ならば徒歩5分圏内、徒歩7分ならば徒歩10分圏内と別カテゴリーに分類されることが多い。微修正では済まされないほどの相違である。消費者に正確な実 態を教えようという意図ではなく、実態とは異なっていても駅からの距離を近く見せたいという狙いがあったのではないかと思われる。

 第3に修正時期が遅過ぎる。ブランズシティ守谷のモデルルームが開設されたのは2007年9月である。ちなみに公式ウェブサイトのモデルルーム写真は2007年7月撮影とある。

  駅までの所要時間が修正されたのはモデルルーム開設から4カ月も経過した後である。修正される前からインターネットの掲示板などでは、徒歩5分が実感と相違すると指摘されていた。ブランズシティ守谷の問題を扱ったウェブサイトでは2007年12月8日の時点で守谷駅からブランズシティ守谷とほかのマンションの写真を並べ、距離感を比較できるページ「守谷駅から見たブランズシティ守谷:ブランズシティ守谷ハッピー守谷〜高層新築分譲マンション問題〜」を公開している。

  第4に修正理由が問題である。修正理由は「同施設(記者注:ペデストリアンデッキエレベーター)が首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス)ではないことが判明したため」とする。まず日本語として意味が通じない。施設が株式会社でないことは当たり前である。修正前はペデストリアンデッキエレベーターを首都圏新都市鉄道株式会社だと思っていた訳ではあるまい。

 この文章は、その後、「同施設が首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス)の所有ではないことが判明したため」に修正された(2007年1月26日確認)。この事実をモデルルーム開設から4カ月後になって初めて知ったならば、宅地建物取引業者として粗末である。

  より重要なことは、ペデストリアンデッキエレベーターの所有者が誰かという形式的な視点で距離の基点を決めている点である。ペデストリアンデッキエレベーターを起点とすると徒歩5分となり、守谷駅八坂口を起点とすると駅徒歩7分になるならば、八坂口からペデストリアンデッキエレベーターまでは徒歩2分の距離があることになる。

 実際、駅出口からペデストリアンデッキが伸びているため、それくらいの距離があるが、それを客観的に駅施設と位置 付けるのは無理がある。消費者感覚ではペデストリアンデッキの昇り口まで着いたことをもって駅に着いたとは言わない。たとえペデストリアンデッキが首都圏新都市鉄道の所有物であったとしても、ペデストリアンデッキエレベーターを守谷駅の入り口とする理由にはならない。

 今回の「訂正とお詫び」は裏を返せばペデストリアンデッキが首都圏新都市鉄道の所有物ならばペデストリアンデッキエレベーターまでを守谷駅として所要時間を表示するつもりであることを宣言するものである。消費者の立場に立って正確な情報を提示するのではなく、ブランズシティ守谷を実態以上によく見せるための論理しかないことを物語る。

 事業者側の対応で唯一評価できる点があるとすれば、販売開始時期が2008年1月から3月中旬に延期されたことである。販売が開始されなければ申し込めないため、少なくとも誤った情報に基づいて申し込む人はいなくなる。しかし、これは記者の好意的判断に過ぎず、実態は異なるものであった。

 記者が2008年1月20日、ブランズシティ守谷マンションギャラリーに電話して確認したところ、販売開始時期の延期は販売価格や手数料の変更によるもので、所要時間の変更が理由で遅れた訳ではないと断言された。やはり事業者には消費者に正しい情報に基づいて判断してもらおうとする意識が乏しいと言える。

 東急不動産分譲、東急リバブル販売代理の組み合わせでは東京都江東区で分譲したアルスでは、販売時に隣地建て替えなどの不利益事実を説明しなかったために消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき売買契約が取り消された。

 この件について東急不動産とも2007年10月にウェブサイトに以下の「お詫び文」を掲載した(参照「東急不動産の遅過ぎたお詫び」)。

  弊社が平成15年(2003年)に江東区内で販売致しましたマンションにおきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけ した件がございました。本件を踏まえまして社内体制を整え、再発防止及びお客様へのより一層のサービス提供を行なってまいる所存でございます

  しかし、ブランズシティ守谷での広告表示を見る限り、質の高いサービス提供をするつもりがあるのか疑わしい。お詫び文は自体、2007年11月には跡形も なく削除された。ブランズシティ守谷の広告表示からは東急不動産の「お詫び」が内実を全く伴わず、表面だけのものに過ぎないものであると感じられる。

ブランズシティ守谷
ブランズシティ守谷の公式ウェブサイト・トップページ(2007年1月20日)
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた著者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判で売買代金を取り戻した闘いの記録(ロゴス社、2009年7月1日発行)。
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