プロデューサーが代わり、ゲフィンからコロムビアレコードに久方ぶりの復帰を果たしたり、Dr.のジョーイ・クレイマーが父親を亡くしたショックにより鬱病にかかり、まともにレコーディングもできないような状況だったように、当時のバンド周辺がにわかに騒がしくなってきた中で制作された作品。
1.スティーヴンの絶叫シャウトから始まる“ナイン・ライヴズ”はぶっ飛ばしすぎのロックンロールナンバー。何度も何度も不屈の精神で這い上がってくる歌詞も何か象徴的なものを感じずにはいられない。2.“フォーリング・イン・ラヴ”はイントロからホーン全開で『闇夜のヘヴィロック』の頃の楽曲を想起させる。3.“ホール・イン・マイ・ソウル”はバラードが得意な後期エアロスミスを象徴させる曲。歌詞もロマンティックで涙腺にくるものがある。4.“テイスト・オブ・インディア”はタイトルの通り中近東のエッセンスをふんだんに取り入れていて、このアルバムを表している。5.“フル・サークル”は彼らのバラードの中でも特に好きなナンバー。最後にスティーヴンがオルガンを弾きながら唄っている部分が妙に懐かしさと夕暮れ時の寂しさを覚える。6.“サムシングス・ガッタ・ギヴ”は機知にとんだ歌詞が印象的。8.“ファーム”は全編で『オズの魔法使い』をフィーチャーした曲。9.“クラッシュ”はまさにク。11.はその独特の浮遊感に身を預けたくなる。12.はジョーペリーがリードヴォーカルをとっている、ボーナストラックにするには惜しいくらい質が高い。15.は8分を越える大作だが、退屈さやけだるさといったものを一切感じさせず、アルバムを締めくくるに相応しい楽曲。
星9つおすすめ度
★★★★★
私はこのアルバムで洋楽にハマりました。15歳でした。当時、自殺を考えるほど沈み込んでいた私の精神状態を、親父より年上な彼らの紡ぎ出した音楽が救済してくれました。
二十歳を過ぎた今では、ああ若かったと軽くかわして考えられますが、当時の衝撃と感動は凄まじいものがありました。15歳というと、音楽だけで泣ける年頃です。
超ベテラン組のエアロスミスですが、内容の充実と商業的成功が一致したアルバムはこれを含めても数少ないと思います。どれがマスターピースかは意見の別れるところですが、9ライヴスには間違いなく他のアルバムにはないオーラが漂っていると思います。
ボーナストラック含めて捨て曲なし、若手パンクロックバンドのようにハードでありながら、ブルース、ビートルズのポップさ、オリエンタル音楽など様々な世界観を見せてくれる懐の深さはエアロならでは。後に続々と発表されることになる9ライヴス製作時の未発表楽曲のレベルの高さからも、この時期のタイラーとジョー(作詞作曲チーム)がいかに貪欲に創作に取り組み、想像者として充実していたかがわかります。
“センスはあるが、演奏技術はない”とは、エアロスミスの評価でよくある意見ですが、はっきり言ってセンスだけなら世界一のバンドだと思う。
そしてセンスがなければ、いかに演奏技術が高くても、それは慇懃な文体で書かれた説明書のようにしかならない。そんな血の通ってない音楽なんて存在しないんでしょうが。
私は生きている!
と、エアロスミスはこのアルバムでそう絶叫しています。やけに素直に泣けてくるではありませんか。
秀曲多し!
おすすめ度 ★★★★☆
前作よりはハードさは抜けたけど若干ロックンロールっぽくなった・・・かも。
アルバムとしてのまとまりは今一だしバラードも若干多い気がするから☆1つ引いときますね。