PERFECT DNA [the latter part]


「打てばいいじゃん?」
「・・・へ?」

トラの目が点になった。

「今・・・なんて?」
「だぁから、打てばいいじゃん?」
「い・・・いいのか?あんたの研究が・・・」
「無駄になるかもしれない、だろ?」

モアイはトラにそう言った。
トラは、呆然としている。

「・・・はっ!!じゃあお望みどおり使ってやらァ!!」

トラはそういうと、注射器を腕にさし、D-P1を体内に注射した。

「ははっ!!感じる・・・感じるぞ!!進化していく・・俺の体ァ!!」
「一つ・・・いいコトを教えてやる。」

モアイはそういうと、トラに話しかけた。

「俺が研究・開発したD-P1はどんな代物か知ってるよな?トラ。」
「あたりまえだろ?人間を進化させるための薬だろう?」
「正解、よくできましたぁ」

ぱちぱちと拍手をしながらモアイはそういった。
そして、続ける。

「じゃあこっから講習だ。終わるまでによく頭に叩き込んどけ、化け物」
「化け物じゃぁない、新人類と呼んでもらおうか?」

トラに、以前のトラの人格はなくなっていた。

「よし、じゃあクソ新人類。人間の遺伝子は何%働いてるか知ってるか?」
「愚問だ・・・約3〜5%だろう?」
「そ。それだけの遺伝子が働いて人間、だ。」
「・・・あん?」

分が悪そうに、トラがそう言った。

「そして、その中の遺伝情報が0.1%でも違うだけで頭の良し悪し、顔つき、性格が変わってくる。」
「・・・だからどうした?」
「つまり、早い話お前は人間じゃなくなるってコトだ」
「・・・ははっ!!新人類になるってコトだろ!!」
「いや、違う」

モアイはふぅと一息つき、続ける。
その時、トラは体の異変に気がつき始めた。

「3〜5%が人間なら・・・それ以上の遺伝子が働いたら?」
「ははっ!!だから新人類・・・」
「だから違うって」
「・・・何?」
「それ以上の遺伝子が働いた場合、人が人じゃなくなる。人が人の形を保たなくなる」
「・・・・??」

トラは頭の中には『?』がたくさん浮かんできている。

「人の形を作っているのは人間の細胞だ。そして早い話、その細胞が集まり人間ができている」
「・・・・」
「で、その細胞にはそれぞれ核がある。コレが遺伝子・・・DNAだ。大まかに言えば、だがな」
「まさかッ・・・・」
「そ。そのDNAが急に働いたとき、ま・・・これは俺の仮説だが・・・」

モアイは一息つき、また続ける。
そして、トラの両手が膨らんだ。が、気がついていない。

「熱を生じる。今まで止まっていたエンジンが急に動き出し、オーバーヒートしたように、な」
「・・・ぐッ・・・!!??」

トラは突然の腹部の激痛で地面に足をついた。

「ガッ・・・ァァァァアア!!」

そして、ようやく自分の手の状態に気がつく。
さらに、トラの周りに蒸気が立ち込める。

「これはッ・・・!!?」
「それに、俺の作った薬は進化じゃない。遺伝子を突然変異させるための薬だ」
「・・・なんだとッ!?」
「トラ、お前も見ただろう?マウスを使った実験の様子、マウスのなれの果て」
「なっ・・・」

この時、トラの頭の中にあの時のマウスの実験の様子が浮かんできた。



「・・・ッ!?」

マウスがゲージの中で、どんどん膨張していく。

「な・・・なんだよコレ・・・」

モアイがゲージの中のマウスをみてそう言った。
そして、ゲージの中のマウスから蒸気が上がり始めた。

「何が・・・起きてるんだ!?」

そして、マウスの形がどんどん変わっていくにつれて、蒸気の量が多くなっていく。
そして、マウスは一回ミイラのようにしぼんだ。
しかし、十数秒するとすぐに膨らんだ。
そして、最後は・・・

「ピギゥッ・・・」
「・・・・!!」

モアイは絶句した。
最終的にマウスは破裂、周りに肉片やら血液やらが飛び散った。
そして、それぞれの肉片は熱を持っていた。
そして、トラはその実験の様子を影で見ていた。
が、それを見たとたん、その場で気絶してしまった。



「まさか・・・あのマウス・・・!!」
「そ、D-P1を投与したマウスだ。」

トラの体がどんどん膨張していく。

「そして、最終的にはメルトダウン・・・って言うと大袈裟か。ま、人体の爆発・ってトコだな」

トラの体からはさらに蒸気が上がり、形が変わっていった。

「ウガァァァァァ!!!」

トラは苦しみ、叫んだ。

「じゃぁな、トラ」

モアイはトラに背を向けると、廃墟から出て行こうとした。

「ま・・・マデヨ・・・・」

モアイの足が止まる。

「・・・なんだ?」
「いやダ・・・死二ダグナイ・・・」
「望んだのはお前だ」
「いやダ・・・いやダ・・・」

そして、トラは次第にやせ細って・・と言うよりミイラになっていく。といった方が正しいのだろうか。

「じゃあな」

そして、モアイは廃墟から出ると扉を閉めた。

「い・・・いやダァァアァアア!!!」

トラは一気に膨れ、、パンッと言う音と共に、研究室の中に何かが飛び散る音が響き渡った。
モアイはその音を聞くと、グッと下唇をかみ締めた。
そして、廊下を歩き自宅へと向かっていった。
翌日、研究室で破裂したトラ・・だった物体は発見され、どこかの研究機関に送られた。


「せんせー」
「・・・あんだよ?」
「最近トラのヤツ、見ませんよねー。どこにいったんでしょうかね?」
「・・・さぁな、どっか遠いところにでもいったんだろーよ・・・」


end・・・


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