PERFECT DNA [the first part]


この地球上に存在する生物は突然変異か、それとも、宇宙からの贈り物か。
星ができて、水ができて、大気ができて、生物ができて、発展しすぎた科学。
神の気まぐれか、はたまた偶然の産物か。
それは誰にもわからない。


季節は夏。
ここはとある森の中。
ヒグラシが鳴き、ツクツクボウシが鳴き、ミンミンゼミが鳴いている。
木についている葉の間から、そして、その木と木の間からの木漏れ日が一人の寝ている青年を照らし出す。

「くー・・・くー・・・」

名は『モアイ』。
白衣を着たボサボサ頭、そしてメガネをかけた青年だ。そして何故か寝ている状態でタバコを口にくわえている。
歳は25〜27くらいだろうか。
そして、生物学者。
しかも、結構名の知れた。
そして、彼はなぜかこんなセミも鳴き止まない森の中で、『DNA recombination』と書かれた本を顔に乗せて寝ている。

「モアイさーん!!」

そこに、一人の・・・学生くらいの男性が来た。
その男性の名は『トラ』。
どうやらモアイを起こしに来たようだ。

「モアイさん!!起きてください!!」
「・・・ぐがっ?」

そう、1回うなり声をあげると、モアイは起きた。

「ッんだよー、っせぇなぁ・・・人がせっかく気持ちよく寝てたってのに・・・・」
「そんなことよりッ!!大変ですよ!!モアイさん!!」
「あン?どーゆーことだ?」

そのトラの『大変』という言葉の理由をモアイは聞いた。

「私達のチームが研究してきた研究データと、研究中の試薬の『D-P1』が何者かによって盗まれたんですよ!!」
「あ・・・・」

モアイはそういうと、その場に倒れこんだ。
そして、一言、叫ぶ。

「あンだってェェェェェェェェ!!!???」

その叫び声は森の中に響き渡った。
そして、口にくわえていたタバコが地面に落ちた。

「なんでもっと早くいわねーんだよ、バカ!!」
「あなたが研究中に『ちょっと出かけてくる』っていって研究室の鍵を空けたまま出てったのがいけないんでしょーが!!」
「黙れネコ科動物!!第一、研究室にお前がいただろーが!!」
「ネコッ・・・私はネコ科の動物じゃありません!!
 それに、授業の合間を見て研究室に忘れたものを取りにきてただけです!!それに、私が出てった時にあなたがでてたんでしょ!」

トラのその言葉にモアイは言葉を詰まらせた。

「はー・・・」

そして、大きなため息を1回。
そして、正面に向き直る。

「うっし、とりあえず研究室に1回戻るぞ」
「はいっ!!」

そういうと、モアイは落ちたタバコの火を踏みつけ、トラと研究室へと戻っていった。



「ひでぇな、こりゃァ・・・」

モアイが見たのは酷く荒らされた研究室。

「で、なんでお前はこんな中で何がとられたなんてわかったんだ?」

トラに疑いの目を向けるモアイ。

「え、だって・・・」

そういうと、ポケットをゴソゴソとあさり始める。
そして、トラは一枚の紙切れを取り出した。

「ほら、こいつですよ」

そして、モアイにその紙切れを渡す。

「・・・ん?」

その紙にはこう書かれていた。

『貴様の研究データと研究試薬・D-P1はいただいた!!  by怪盗キャッツァーイ一味より愛を込めて』

「・・・」

その場でしばらく黙り込むモアイ。

「で、実際には?」
「盗られてました。研究データをごっそりと、『D-P1』の研究試薬」

モアイはふぅと一息つき、再びトラに問いかける。

「盗られたD-P1はどっち?液体?固体?」
「液体の方をごっそりと」
「っかー・・・」

そういうと、モアイは下を向き、頭をガリガリかいた。
そして、正面を向く。

「まーた面倒なのが盗まれたもんだなァ・・・ま、固体も盗まれなかっただけヨシとするか・・・」

そういうと近くにあったイスにモアイは座った。

「で、研究データの方は?」
「だめです。ハードディスクごと完全にフォーマットされてます」
「そっかー・・・」

モアイの座ってるイスがギシッと音を立てた。

「あー、もう。なくなっちまったもんはしかたねーか。いくら考えても。」
「そうですね・・・」

はぁ・・・と二人同時にため息が出てきた。

「でもどうします?研究データ・・・」
「は、バックアップとってあるから大丈夫だ。」
「あ、そうですか・・・」

そして、しばしの沈黙。
が、その沈黙はすぐに破られる。
豪快な窓ガラスが割れる音と共に、人が入ってきた。

「な・・なんだ!?」

突然の来訪者にモアイはかなりうろたえていた。

「あはははは!!我らの名は『怪盗キャッツァーイ』!!残りのD-P1をもらいに来た!!」

突然入ってきた全身黒タイツの男はそう叫んだ。
そして、後ろにいる全身黒タイツ女も何か叫び始めた。

「おほほほほ!!なんだかんだと聞く前に答えてあげるが世の情け!!」

モアイはその二人を呆然と見つめながら、こう思った。

(なんだこいつらなんだこいつら!?頭おかしいのか?つか研究データと試薬取ったのこいつらかァァァ!!)

「人類の進化を促すため!!」

全身黒タイツ女がそういった。

「世界の進化を促すため!!」

全身黒タイツ男がそう言った。

「ラブリーチャーミーな敵役!!」
「待て待て待て、さすがにそれはヤバイだろ」

モアイがそう突っ込みを入れた。

「それに今はもう違うし」
「うるさい!!気に入ってんだよ、コレ!!」

そして、二人は同時にため息をつき、そして話始める。

「と・に・か・く!!モアイ、アンタの研究中試薬、D-P1をもらいに来た!!」
「ん?それならもう盗られたぞ」
「そう!!盗られた・・・って、えぇ!?」
「いや、だから盗られたって」
「うそをつくな!!言ってたもん!!リーダーがまだあるから取りにこいっていってたもん!!」
「・・・リーダー?」

モアイの頭の上にハテナマークが浮かんだ。

「そう、リーダートラさんがいってたもん!!ね?リーダー!!」
「あ、バカッ・・・」

その時、モアイの横を何かが掠めて、全身タイツ男に向かって飛んでいった。
そして・・・

「あぅっ!!!」

全身タイツ男の頭にナイフが刺さり、男は倒れた。

「なっ・・・リーダ・・・」

女の額にもナイフが刺さった。
そして、倒れる。

「あーあー、計画台無しにしちゃってくれちゃってんじゃん。コンのバカ達が」

やれやれ・・といった感じでトラはそういった。

「あれ?驚いてないの?モアイセンセ」
「まぁな」

モアイは落ち着いてトラと距離をとった。

「気づいてたの?」
「まぁな」
「いつから?」
「あのバカ二人が入ってきた時から。お前、まったく驚いてなかっただろ?」
「あー、やっぱ驚いといた方がよかったかぁ」

トラはケラケラ笑いながらそういった。
そして、ふぅと一息つくと懐から何か取り出した。
その何かは液体で、注射器に入っている。

「コレ、なんだかわかる?」
「あー、D-P1だな」
「ご名答」

トラはぱちぱちと拍手しながらそう言った。

「さて問題。ここで俺がこのD-P1を打つとどうなるでしょー?」
「わっかんねぇ」

モアイはトラから目線をはずし、答えた。

「わからない?なら俺が俺に打って答えをみせよーかー?」
「あー、そうだなぁ・・・」

モアイはしばらく考え込むと、トラにこう言った。

「打てばいいじゃん?」
「・・・へ?」

モアイの予想外の返答に、トラの目が点になった。


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