第6話:主人公の悲劇

 も風止まない、広い校庭の上。
紫砂津中の広い校庭は、肩を負傷しながら生徒Aを背負うRの介にはどこまでも続く道に感じた。
Rの介の心の中には、「他の生徒に助けてもらおう」という気持ちがあったが、生徒はみな持ち場の敵を割と早く倒してしまったことに加え、嵐だったので、校舎に戻っていた。
つまり、校庭に残っているのはRの介と生徒Aだけである。

「俺、運悪すぎ・・」
生徒Aを背負いながらRの介はつぶやいた。まだまだ、校舎への道のりは長い。

─────

 2−Cの教室の中。
外からは、風の音がビュンビュン聞こえてくる。
「Rの介、どうしたんだっ?遅すぎねーかっ?」
ユウは、窓の外を眺めている。しかし、嵐のせいでほとんど何も見えない。
「やられちゃったのかな・・」
マイも、その隣で何も見えない窓の外を見ていた。
そんなユウとマイを見て、死神が励ますように言った。
「あいつはやられないさ・・・たぶん
「おいおい死神たぶんって・・。」
上手く励ませない死神を見て、TOカサは苦笑いを浮かべた。

教室でそんな話をしていたころ、Rの介の姿は校庭にはなく、生徒Aだけが残されていた。
その日、死神達はRの介を一晩中探したが、見つかることはなかった。

─────

 そして次の日。
Rの介が起きると、立派なベッドの上にいた。
負ったケガの治療もしっかりされており、右肩にはぐるぐると包帯が巻きつけられていた。
そこはとても美しく、かつとても広い部屋だった。
Rの介は立ち上がり、部屋を見回した。ガラスの棚には美しい絵画やツボなどの芸術品が、天井を見上げれば豪華なシャンデリアが吊り下げられていた。
「起きたか」
Rの介が後ろを振り向くと、昨日戦った市長の姿があった。
市長の左ほほは、まだ少し赤く腫れていた。
市長の顔を見た瞬間、肩の傷が少し痛み出したが、かまわずRの介は質問した。
「ここはどこだ。お前がなぜここに」
言い切らないうちに、市長が答えた。
「ここは私の家だ。その家に私がいるのは当然だろう」
「・・じゃあ、どうして俺をここに?」
「キミ達は感じないのか。キミ達の中にある力の胎動を・・。」

沈黙。

「え、何ソレ、これってもしかして、アレ?【特殊な力を持ったキミ達を捕まえていけにえにして、世界をも征服できる力を手に入れる。】とかそんなん?」
かもね!!!

「ってことは?」
「うん」

「俺は?」
「うん」

「さらわれてしまう?」
「うん」

「みんなここに助けに来る?」
「うん」

「それをいけにえにする?」
「うん」

「ってことはってことは俺は?」
「うん」

ひ・と・じ・ち?
「・・うん。」
市長は指をパチンと鳴らした。
すると、見事な細工の施されたきれいなドアをあけて屈強な男が2人入ってきた。

主人公なのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ

屈強な男達に肩をつかまれたRの介はかつてないほどの声量で叫んだものの、あえなく連行されていった。

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