第5話:紫砂津中防衛戦-終-

 1時間ほど過ぎたころ、紫砂津中学校には、大粒の雨が降り出していた。
A地点、B地点、C地点、そしてD地点では、
Rの介、死神とユウ、マイ、TOカサがそれぞれ戦っていた。
 A地点。生徒AとRの介の漫才的なやり取りが続きながらも紫砂津中側優勢に進めている。
生徒Aの討伐数は約30人。Rの介は0人。
 B地点は死神とユウが圧倒的な力を見せつけ、紫砂津中側が完全に優勢。
死神の討伐数は約80人。ユウは約50人。
 C地点では、マイが大暴れしてもはや敵がよりつかなくなっていた。
マイの討伐数は、トップで約160人。
 D地点ではTOカサが隊長を倒してから、戦況がひっくり返って紫砂津中側が市長側を圧倒するようになった。
TOカサの討伐数は約40人。
 こうした2年C組の目覚しい活躍もあり、市長側で戦えるものはほとんどいなくなってしまっていた。
ガガガガと凄い音を出していた戦車も、いつのまにか和丸先生の手によって破壊され、動かない状態だ。

そして、ここはA地点。
Rの介は桜の木の下にもたれかかって座っていた。
「あのなー。お前、ひとりも倒してねーだろ?」
生徒Aは、Rの介の目の前に立って、金属バットで自分の肩をトントンと叩いている。
「はぁー?俺は、アシストをしてるんだ。日本代表で言うと中田英寿みたいな・・」
「わかんねーよ!そもそもお前は・・」
突然、生徒Aがひざまずいた。
「は?」
Rの介は何が起こったのかわからないまま、倒れる生徒Aの姿を見ていた。
ゆっくりとその上を見上げると、びしょぬれのスーツを着て立っているの市長の姿があった。
その手には、日本刀が握られていた。その先から、血がポタポタとたれていた。
Rの介はその刀を見て、カッと目を見開き勢いよく立ち上がった。
その瞬間市長は刀を桜の木に突き刺した。Rの介の顔のすぐ脇だ。
そして、口を開いた。

「Rの介くんかね」
Rの介はその言葉を無視し、キックを入れようとした。
しかし、市長は剣を木から引き抜き、後ろに跳んで回避した。

「てめぇ・・友達いきなし刺しといてなんだってぇんだ。」
Rの介がナイフを構える。いつもやる気のないRの介が、今まで見たこともないような顔をしている。
「政府の重役に言われてなぁ。【Rの介、死神、TOカサ、マイ、ユウ】を見てこいと。なのに、キミは戦ってなかっただろう?」
「は・・?俺達を見に・・?」

「まぁいいや。来い。」
Rの介は意味がわからないという顔をしたが、もう一度、市長の刀を見て大きく目を見開き、市長に向かって突っ込んだ。
両手に持ったナイフでラッシュをかけようとするが、市長は日本刀で上手く受けてくる。

(つっこんでくるだけか・・?)
市長は、日本刀でRの介のナイフを強くはじきRの介をひるませた。
そして、斜めに振り下ろす。後ろに回避しようとしたものの、肩を斬られてしまい、鮮血が吹き出した。

少し2人の距離が開いた。
Rの介の肩からは血がにじみだしている。
ここで一旦ラッシュをやめ、Rの介はナイフを持って右手で投げるモーションをした。
しかし、ここでは投げずにダッシュ。

ダッシュしていき、市長の刀が届かないぎりぎりのところで左手のナイフをとても軽く投げた。
力なく飛んでいったナイフを、市長は刀であっけなくはじく。
その瞬間を狙い、Rの介は目線は市長の顔からはずさずに、市長の足元に向けて、傷ついた右腕でナイフを鋭く投げつけた。

プシュッという音がして、市長の革靴にナイフが刺さる。
市長が一瞬痛そうな顔をして怯んだのをRの介は見逃さなかった。

いきなりRの介は市長に飛びかかり、首を強くつかんでそのまま地面にたたきつけた。
そして、左手で一発、顔にパンチを入れて、立ち上がった。

肩の血は止まらない。
だが、倒れている友人を放ってはいられず、生徒Aを無理矢理に背負って、大雨の中を懸命に歩いて校舎に戻った。

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