第4話:紫砂津中防衛戦-3- 

 「くらえーっ!!」
C地点。戦場には似合わない少女の明るすぎる声と、男の生々しい悲鳴が交互に響いている。
マイの近くにはまだ、3人ほどの鎧の男がいた。しかし、どの顔を見ても蒼白している。
そう、マイが強すぎるのだ。
戦いが始まってまだ20分ほどしか経過していないが、マイの討伐ペースは尋常ではない。
すでにC地点には100近い鎧の男が横たわっていた。
このうちの90人近くはマイが倒したものだ。もちろん生徒全員の中で最高の数字。

「くそ・・まとめてやっちまえ!」
鎧の男3人がまとめてマイにつっこんできた。

「よし!」
マイの顔つきが変わる。

一番左にいた鎧の男が顔に向かって槍をついてきた。マイはそれをすばやくかわしその男の顔に右手で裏拳を叩き込んだ。
ぐきっとイヤな音がしたが、それも気にかけずマイは軽やかなサイドステップで右にいた鎧の男の方へ跳んだ。

右の男の顔を一瞬チラリと見て、いきなり懐にもぐりこみ左手で男の脇腹に強烈なパンチを入れた。
その男は軽くふっとび、その奥にいたもうひとりの男の目の前に倒れた。

そしてマイは奥の男が一瞬怯んだのを見逃さず、右足にぐっと力をいれ、倒れた鎧を跳び越えて空中にいるまま強烈なストレートを男に浴びせた。

「やったーvv」
マイの表情は一気に緩んだ。振り向いて、笑顔でクラスメイト達に向かってピースした。

D地点。大きな湖とベンチがあり、休み時間にここに来るとカップルが居たりもする。
ここにはTOカサがいるのだが、他の場所とは状況が違うようだ。
鎧の男の一人が、止まらないのだ。
その男は他の男達に「隊長」と呼ばれていた。
全て同じに見えていた鎧の男達だが、一応上下関係はあるようだ。
よくみると、隊長の兜の前たて(角のようなもの)は他の物より少し大きかった。
槍も、他の男は木の棒の先に刃がついているというような粗末なものだが、
隊長のものは持ち手に美しい細工が施されていて、怪しく輝いている。
その槍によって、すでに何十人もの生徒がやられてしまった。
「あいつ、強ぇな・・」
TOカサが舌打ちをした。すると、隊長と目が合ってしまった。

「よし・・次はお前だ。」
隊長はそういうと、TOカサに向かってずんずんと歩いてきた。
そして、距離が近づいたとき、いきなり槍を両手に持ち直し思い切り槍を振り下ろしてきた。
本来槍は突き刺して攻撃するものだが、隊長は槍を短めに持って刀のように使ってくる。

「おっとぉ」
TOカサは銃の両端を持って構え、何とか受けるが、隊長は反撃する余裕は与えてくれない。
隊長は、一方的に攻め立てた。動作は振り下ろすだけなのだが、スピードが速く隙がない。

TOカサは、無難に受けながら、徐々に後退していく。
「おらおら、どうした!」
背を向けていても、TOカサには、すぐ後ろが湖であることがわかっていた。

そこで、今まで後退していたTOカサはとつぜん前に踏み出した。
隊長は少しびっくりしながらも気にせずに槍を振り下ろした。

TOカサはしっかりと防御のために銃を構える。そして、相手の槍が強く銃をうちつけたその瞬間、TOカサは隊長に足をかけた。
隊長が体勢を崩す。その間にTOカサは隊長の後ろに回りこみ、背中をドーンと打ちつけた。

湖に大きな水しぶきがあがった。
鎧を着た隊長が陸にあがってくることは、もうなかった。

「うーん。俺かっこいー。」
TOカサは思いっきり自画自賛している。それを言わなければ本当にかっこいいのだが・・。

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