「0 zero」(2)  by和弥 菫


長い、付き合いの恋人と別れた。

別れなんてあっけないもので、昨日あるものが明日もあるとは限らない。
大混乱と失望と、心に残った大きな傷。


なのに、どこかで自由になってほっとしている自分もいる。


どんな結果も共同責任です。     あーあ。




誰かに話したくて、誰にも知られたくなくて、だから、彼にメールした。

「お久しぶりです。最近悩んでたのですが、ついに恋人と別れました。
最後に怒りのあまり張り手を連打しました。
それなりに辛かったですが、私なりに頑張ったと思います」



・・・・・返信。。


『申し訳ないのですが、数日待ってください。 車にはねられまして病院です。』





・・・はねられた!? 病院?



・・・・固まりつつ、とりあえず返信。



「大変なときにメールしてしまいましたね。びっくりしました。どうぞお大事に」




次の日、彼は無事に退院してきた。 無事というか、無理やりにでもある。
ノーブレーキのバンにはねられたというのに精密検査を受けても、 結果は尾てい骨にひびと骨盤が少しずれた程度だったらしい。

『現場は見晴らしのいいトンネルだったんですが、 運転手が妙なこと言うんですよね。 まったく俺が見えなかったと。 検証でも、見えないはずはないと言われているんですが。』

「居眠りや飲酒運転だったわけでもなく?」


『はい。それにしても大抵の場合は、即死するレベルらしいですね。 咄嗟に受身取ったんですが、地面にたたきつけられるまで、やけに長く感じましたよ。 走馬灯は見えませんでしたが。運転手やら車内の様子が見えましたよ。』
彼はそういって笑った。


『助手席の女性と目が合ったように感じました。 なのに乗ってたのは運転してたそいつだけだって言うんですよね。』



「・・・・そうでしたか・・・・」


その女性が運転手の目をふさいでいたのかしら。
薬指の指輪をそっとしまいながら私は、見えない闇に目を凝らしてみた。


                                     続くし??                                
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