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(連載)短篇小説 冬の灰色の空がぐずつきはじめた。風が強く吹きつけてくる。 ボクは、ライト・グレーのコートの前襟をかき合せた。 もう片方の手にはアタッシュケースを持っている。 コートの下は紺色のスーツ姿だ。 平日の昼間からこうして住宅地をうろついているところを人が見たら、 ボクを営業マンだと思うことだろう。 ボクの目の前に横たわるアパートは、すこし変わった設計のアパートで、 建物中央で鉄骨の階段が二階へと続いている。横長のアパートの、 並んだ窓が複数の目だとすると、 階段は口から伸びた舌のようだ。まるでボクにあかんべしている。 |
| 白紙の小説集 |