<小言航兵衛>

天の廃材

 

 先日の総選挙ではどの政党が勝ったのか。「勝ったのはどっち、どちらも勝ち名乗り」という川柳が今日の新聞にあったが、航兵衛にもよく分からない。

 眞の勝者は「公明党」という見方もある。なるほど、それならば是非ともマニフェストに書いてあった公約「救命医療の切り札ドクターヘリを全国配備――ドクターヘリの拠点地域を4年以内に3倍へ拡大(現在7ヶ所)します。10年後には各都道府県1ヵ所、50ヵ所地域の整備をめざします」を実現して貰いたい。

 逆に言えば、議席数を3分の1に減らした社民党も、選挙の結果自民党に吸収された保守新党も、ドクターヘリを公約に掲げておけば票数が伸びたはずで、知恵が足りなかった。

 地元のために大工事の予算を取ってくるといった政治手法は、もはや力をなくしたというのが今回の現象だった。それに代わって、年金もそうだが、病気を含めて、個々人の身近な問題が人びとの共感を得る時代になったのである。

 同じ意味で、小泉首相のいう「抵抗勢力」がほとんど姿を消したのも今回の選挙に見られた大きな特徴である。その典型は、特定郵便局の小せがれ、荒井広幸。このちょこまかしたイタチ男が単に親の利権を自分が引き継ぐだけの魂胆で郵政改革反対をとなえていたのは、地域や住民どころか、自分のためだけの個人的な主張で、こんなのが国会議員だったことの方がおかしい。

 似たようなのは鈴木宗男。牢屋暮らしが長くなって消えていったのは当然である。

 もう一人、抵抗勢力の大物、野中広務が万策尽きて自爆テロをやろうとしたが、誰もテロ(恐怖)を感じることなく自爆だけに終わったのはめでたしといってよいであろう。 

 『道路の権力』(猪瀬直樹著、文藝春秋社刊、2003年11月15日)にも道路の利権を握る「実力者たち」が多数登場する。その登場人物の中で、今回の選挙で落ちたのが村岡兼造、栗原博久、相沢英之らである。もうひとり江藤隆美は野中同様、選挙に出なかったから、少なくとも5人の抵抗実力者が天の配剤よろしきを得て消えたことになる。

 念のために、天の配剤とはむろん国民の意思だが、道路づくりに賛成か否かといったことではない。道路をタネにして利権の構造をつくり上げてゆくことへの批判であり、怒りである。

 いっぽう「道路の権力」にかかわりながら当選したのは橋本龍太郎、亀井静香、古賀誠、中村正三郎、野呂田芳成らである。ほかにも道路議員は多いだろうが、彼らが今後どこまで抵抗できるか。これら道路族もしくは建設賊の行動が、もはや多くの国民の賛同を得ることは少ないであろう。天の配剤というよりも、廃材にならぬよう気をつけたがいい。

 小泉首相はこの機を逸することなく、改革を断行してもらいたい。

(小言航兵衛、2003.11.19)

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