<本のしおり>

バカはバカ



 

 この本の趣旨は、「学歴のあるバカ」ほど始末に負えないものはない。「学バカ」はマスコミや国会、政財界に限らず、そこらじゅうにいて物事の進歩発展を阻害するというもの。言われてみればその通りで、すっかり納得させられると同時に、まことに面白い本である。


(2018年3月20日刊)


 そこで思い出したのは、この頃ときどきニュースになる三菱リージョナル・ジェット(MRJ)。三菱重工が開発中の70~90人乗りの双発ジェット旅客機で、15年ほど前に鳴り物入りで計画が始まり、とっくの昔にANAやJALの定期路線に飛んでいるはずだった。
 それが思い通りに試験飛行が進まず、世界中から500機もの注文を受けながら航空会社への引渡しができないまま、今や相次ぐキャンセルに見舞われているという。
 この事実を本書の観点から見ると、まさしく当然ではないだろうか。というのは三菱は押しも押されぬ日本最大級の重工会社で、入社するのもむずかしい秀才たちの集まりである。すなわち「学歴のあるバカ」の集団にほかならない。
 しかし以前は三菱にも、昔ながらの名人芸を持った職人気質(かたぎ)の技術者たちがいて、戦前のゼロ戦を持ち出すまでもなく、戦後もYS-11やMU-2といった傑作機をつくり出した。航空機の開発には好奇心に富んだ独創性と冒険心が必要で、入学試験や入社試験の成績だけを追い求めてきたような連中に出来るはずがない。馬之介から見れば、いずれ絵に描いたワラの餅に終わるに違いない。


アメリカで試験飛行中のMRJ。そのもようが6月末、初めて報道陣に公開されたという。
今ごろ「初めて」とはどういうことか。他者にかくれて飛んできたという意味ならば、
そんな妙な秘匿ぶりもバカの証拠といえよう。


 なお本書には週刊誌に不倫を報じられた女代議士や、秘書に「このハゲー」と雑言を浴びせた女代議士も登場する。両人ともに東大法学部の同期だそうだが、担任教師の顔を見たいものである。そして、この本の著者の出身母体マスコミ界にも同じような点取り虫が多いとか。
 とすれば飛行機の開発はもちろん、本書が指摘するようなマスコミや政界も、しばらくは「学バカ」の支配から抜け出すことができないのではないか。つまり日本中がバカどもの支配下に置かれるわけで、情けなくも恐ろしい世の中になったものである

(野次馬之介、2018.7.2)

【関連頁】

<パリ航空ショー>続三菱リージョナルジェット(2007.7.18)

<パリ航空ショー>三菱リージョナルジェット(2007.7.2) 


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